ウォーレン・バフェットは、株式投資において最大50%の下落を覚悟すべきだと語った。この発言は投資家を脅すものではなく、非合理な市場の特性に備えよという警告である。過去のS&P500は深刻な弱気相場を何度も経験しながらも、長期的には大幅な上昇を遂げてきた。
バークシャー・ハサウェイ自身もブラックマンデーや金融危機を経て成長しており、優良企業とて例外ではないことを物語っている。短期的な予測は困難である以上、一貫した投資とドルコスト平均法が有効な手段となる。
とはいえ、すべての優良株が常に最良の選択肢とは限らない。モトリーフールのアナリストは現在、バークシャーを「今買うべき10銘柄」から外しており、戦略的な選定眼が問われる局面にある。
歴史が物語るS&P500の急落とその後の回復

S&P500は過去数十年にわたり、幾度も大幅な下落を経験してきた。たとえば、2007年の金融危機では56.8%の下落を記録したが、その後737.7%の回復を遂げた。2020年のコロナ・ショックでも33.9%の急落後、153.3%の上昇が確認されている。1987年のブラックマンデーにおける33.5%の下落後には2,430%の長期上昇が続いた。これらの数値は、短期的な動揺を乗り越えた先に、顕著な成長が待ち受けている可能性を示唆するものといえる。
とはいえ、こうした反発が将来も必ず訪れるとは限らない。市場は人間の非合理な行動に大きく左右されるため、同様の再現性を過信するのは危うい。市場に長期的に居続けることの価値は、これらの歴史が裏付けているが、それはあくまで「過去」の傾向である。未来を読む鍵は、過去の事実に学びつつも、現在の市場構造や経済環境の違いを冷静に見極めることである。
バフェットの発言に見る投資家への警告と提案
ウォーレン・バフェットは「株価が50%下落しても耐えられないなら、株を持つべきではない」と語った。この言葉は恐怖を煽るものではなく、市場の本質的リスクに対する冷静な認識を促す助言である。彼が率いるバークシャー・ハサウェイも、過去に複数の下落局面に直面しながらも、長期的な成長を遂げてきた。つまり、優良企業でさえも市場全体の混乱からは逃れられないという現実がある。
投資において必要なのは、タイミングを計る技術ではなく、意志の一貫性である。ドルコスト平均法のような継続投資の手法は、短期的な価格変動を平均化し、長期的なリターンを得るための有力な戦略とされる。バフェットの発言は、感情に流されず、予測不能な局面にこそ強い投資スタンスを築けという意思表明とも解釈できる。短期的な変動に一喜一憂せず、長期視点を保てるかが、投資成否の大きな分水嶺となる。
Source:The Motley Fool