GoogleはAndroid Autoの最新ベータ版14.1をリリースし、一部のAndroidゲームが車載ディスプレイで動作する新機能を追加した。対応タイトルには『Angry Birds 2』や『Beach Buggy Racing』が含まれ、駐車中に限ってゲームをプレイ可能となる仕様が導入されている。

このアップデートでは、ゲーム中の全画面表示やスワイプによる「終了」ボタンの表示など、新たなUI挙動も実装。現時点ではベータユーザー限定の機能であり、安定版への展開時期や対応車種の詳細は未発表のままだ。

駐車中限定のゲーム起動 表示の仕組みと操作性に注目

Android Auto 14.1では、ゲームプレイが「駐車中のみ」に制限されている。実際に車両がパーキング状態であることが検知されると、『Angry Birds 2』や『Beach Buggy Racing』などのインストール済みゲームがディスプレイ上に現れ、プレイ可能になる。走行開始と同時にゲームは自動的に終了し、アイコンがグレーアウトして非表示となる仕様が採用されている。

この挙動により、安全性が確保される一方で、ゲームの選択から起動までの流れには若干の工夫が必要だ。たとえば『Angry Birds 2』はインターネット接続が必要なため、車内でゲームを起動する前に一度スマートフォン上での準備が求められるケースがある。これに対し、『Beach Buggy Racing』はオフラインでも動作し、テスト環境ではスムーズな起動とプレイが確認されている。

なお、Googleはゲーム側に対して特別な最適化や調整を求めておらず、現時点ではAndroid Auto上でそのまま起動可能な仕様にとどまっている。開発者がAndroid Auto専用にチューニングを行っていないため、操作性やUIが車載ディスプレイに最適とは言えない部分も見られた。ただし、この制約下でも意外なほど自然なゲーム体験が実現されていることは評価に値する。

全画面表示とスワイプ操作に見る車載UIの新たな試み

Android Auto 14.1ではゲームプレイにともない、アプリが自動的に全画面で表示されるよう設計されている。この変更は単なる拡大表示ではなく、アプリのインターフェース全体が車載ディスプレイに最適化されるという意味を持つ。さらに、画面上部からのスワイプで「終了(Exit)」ボタンを表示する仕組みも導入され、直感的な操作性が追求されている。

このUI挙動は車種によって若干異なるものの、直感的なジェスチャー操作でアプリを終了できるという点は、ドライバーが運転準備に移る際のストレスを軽減する役割を果たしている。従来のAndroid Autoでは複数ステップのメニュー操作が必要だった場面でも、今回のUIは一動作でのアプリ終了を可能にしており、シンプルさと安全性のバランスを意識した設計が垣間見える。

ただし、すべてのアプリがこの仕様に対応しているわけではなく、今後ゲーム以外のエンタメ系アプリへの展開があるかどうかは明らかになっていない。とはいえ、スマートフォンとの接続に依存しつつも車載システム独自の挙動を実現するという点で、GoogleがAndroid AutoにおけるUIの再構築を進めていることは間違いない。

今後のゲーム拡充は未定 既存タイトル中心の導入意図

現在のベータ版Android Auto 14.1で対応が確認されているゲームは『Farm Heroes Saga』『Candy Crush Soda Saga』『Angry Birds 2』『Beach Buggy Racing』の4タイトルのみであり、すべて既存のカジュアルゲームで構成されている。これらは比較的短時間でプレイでき、タッチ操作で進行可能な点が共通している。

この選定には、操作性や視認性だけでなく、車内での利用シーンを想定した配慮が見られる。長時間の複雑なゲームよりも、待機中や休憩時に手軽に楽しめるタイトルが選ばれている可能性が高い。さらに、Googleがゲーム開発者に対して個別の対応を求めていない点からも、現段階では大規模なゲーム対応を目指す段階には至っていないことがうかがえる。

Playストア経由のベータプログラムは定員制であり、現時点では一般ユーザーがこの新機能に触れるにはやや敷居が高い。一方で、2025年型スバル フォレスターのような最新モデルとPixel 9 Pro Foldなどの新端末による接続テストが進んでおり、今後のアップデートによって対象端末や対応タイトルが増える可能性もある。これらが正式版に盛り込まれるかどうかは未確定であり、今後の動向に注視する必要がある。

Source:9to5Google