Microsoftが開発を続けてきた次世代ファイルシステム「ReFS(Resilient File System)」が、Windows 11の最新プレビュービルド27823にて突如として姿を現した。従来のNTFSに代わる存在として設計されたこのフォーマットは、最大35PBの容量に対応し、大規模データ運用や高いデータ保護性能を備える。
今回注目されたのは、「Flexible Storage」というラベル付きの隠しメニューからReFS形式でディスクをフォーマットできる点だ。この機能は一般の設定画面には表示されておらず、インサイダーによる発見で明るみに出た。未だに起動ディスク対応やファイル暗号化といったNTFSの機能は一部使えないが、今後の対応次第では一般ユーザーへの本格展開も視野に入りそうである。
ReFSが持つポテンシャルと制限のバランス

Windows 11 Build 27823で発見された隠し機能としてのReFSフォーマット対応は、従来のNTFSと比べて大容量対応やデータ耐障害性の面で大きな進化を示している。最大35ペタバイトのボリュームサイズやブロッククローン、ファイルレベルのスナップショットといった機能は、これまでサーバー用途に限定されていたReFSを一般環境でも活用可能にする土台となり得る。一方で、NTFSが標準で備える暗号化や圧縮、リムーバブルメディアへの対応といった基本的な機能はまだ実装されておらず、現在のReFSは単独でNTFSを完全に置き換える存在とはなっていない。
また、ReFS形式でフォーマットするには「Flexible Storage」と名付けられた非公開のポップアップメニューから操作する必要があり、この機能は現時点では通常のユーザーインターフェースに含まれていない。これにより、ReFSのテストや活用には一定のハードルが存在する状態が続いている。Microsoftがなぜこの機能を明示的に公開せず、隠されたメニューとして配置したのかは明かされていないが、これはまだ仕様が不安定である可能性や、意図的に選ばれた一部のテスターにのみ試用させている可能性を示唆している。
“次世代ファイルシステム”は日常利用に浸透するか
ReFSは14年前に登場して以降、主にエンタープライズ領域に特化して進化を続けてきた。しかし今回、Windows 11の一般ユーザー向けプレビュービルドにおいて、非公式ながらもReFSがアクセス可能な状態で含まれていたという事実は、Microsoftがこの技術を日常的な利用環境にも適用しようとしている兆しとも受け取れる。NTFSの登場からすでに数十年が経過しており、ストレージ容量やデータの冗長性に対する要求がかつてない水準に達している今、ReFSのような新世代フォーマットの普及はある意味で自然な流れともいえる。
とはいえ、ReFSがすぐに主流となる可能性は高くない。起動ディスクとしての対応がなされていない点や、ファイル圧縮・暗号化といった実用的機能の欠如は、実環境において致命的な制約となり得る。現段階ではテスト目的や一部の大容量データ運用といった限定された用途にとどまりそうだが、今後のビルドでこれらの機能が順次追加されていけば、ReFSはNTFSの後継として現実的な選択肢になっていくだろう。従来の限界を超える設計思想が、個人利用の現場でも求められる時代に差しかかっている。
Source:TechSpot