Microsoftは、Windows 11の次期バージョン「24H2」に対し、Copilot+ PC向けを中心とした大規模アップデートを公開した。AI検索の強化ではセマンティックインデックスモデルにより、曖昧な語句でもドキュメントや設定、クラウド写真が検索可能となり、Snapdragon搭載PCではオフラインでも動作する。加えて、ゲームパッド専用キーボードや音声アクセスの自然言語対応、44言語からのリアルタイム字幕翻訳といった新機能も追加され、AMD・Intel搭載PCへの展開も順次予定されている。

この更新はKB5053656(ビルド26100.3624)として提供され、AI処理用NPUを活用した機能が目立つ内容に仕上がっている。

AI検索がもたらす操作感の変化とCopilot+ PCの役割

今回のWindows 11 24H2アップデートで最も注目されるのが、セマンティックインデックスモデルを活用したAI検索機能の強化である。Copilot+ PCでは「テーマを変更」などのあいまいなキーワードからでも、設定アプリ内で意図した項目に即座にアクセスできる。さらにOneDriveと連携すれば、クラウドに保存された写真も「夏のピクニック」などの自然言語で検索可能となり、ファイル名や正確な文言を思い出す必要がない。検索対象もエクスプローラーやタスクバー、設定アプリにまで広がり、PC操作の導線そのものが再構築されつつある。

このAI検索は現時点でSnapdragon搭載のCopilot+ PCに限定されており、インターネット接続なしでも機能する点が大きな特徴だ。AMDやIntel搭載機種には今後展開される予定だが、AI処理においてローカル実行を支えるハードウェアとの連携が必須となるため、今後の対応範囲やパフォーマンスには注視が必要となる。従来の検索機能に不満を抱えていたユーザーにとって、今回の改善は明確な利便性の向上をもたらす内容である。

ゲームパッドキーボードと自然言語入力が広げる入力手段の選択肢

Windows 11 24H2では、ゲームパッド専用のキーボードレイアウトがタッチキーボードに追加された。Yボタンでスペース、Xボタンでバックスペースといった直感的なボタン操作が可能となり、垂直配置されたキーによって、コントローラーのみで文字入力がスムーズに行える設計となっている。PCでのゲームプレイ中やリビングでの操作など、従来のキーボード使用が難しい場面で特に有効であり、ゲーム機ライクな体験が拡張された形となる。

加えて、Snapdragon搭載のCopilot+ PCでは、自然な話し言葉による音声入力にも対応。「えーっと」などの言いよどみや言い換えも認識できる処理能力により、音声コマンドの実用性が大きく向上している。これにより、手を使わずに直感的な操作が可能となり、日常的なPC利用のスタイルにも変化を与える可能性がある。絵文字入力パネルへのアクセスを簡素化する新しいシステムトレイアイコンの導入も含め、入力手段の多様化が着実に進んでいる。

リアルタイム翻訳キャプションと周辺環境への影響

Windows 11 24H2で提供されるライブキャプション機能は、AMDおよびIntel搭載のCopilot+ PCでも利用可能となり、44言語から英語へのリアルタイム字幕生成が可能になった。動画通話や録画コンテンツだけでなく、ストリーミングや会議アプリの利用時にも対応しており、字幕精度が要求される場面で重宝される設計となっている。また、Snapdragonモデルでは簡体字中国語へのリアルタイム翻訳にも対応し、地域と言語の壁を越えた利用が現実味を帯びてきた。

この機能は聴覚的な補助にとどまらず、外国語を含むオンラインコンテンツの理解を助けるツールとしても注目される。NPUによるローカル処理によって、応答速度の速さやインターネット依存の軽減にも寄与している。字幕の自動生成が標準装備として浸透することで、PCの視聴体験は今後よりパーソナルかつバリアフリーな方向へと進むことが期待される。高性能な処理基盤と連携した機能進化が、OSの使い勝手に明確な変化をもたらし始めている。

Source:Neowin