米ゲーム小売大手GameStop(GME)の株価が、3月28日木曜に22.82%下落し、時価総額で30億ドルを失った。きっかけは、ビットコイン投資への参入発表で急騰していた株価が、資金調達計画の公表を受け一転、売り圧力に晒されたためである。
GameStopは、約13億ドル相当の転換社債を発行しビットコイン購入資金に充てる計画を示したが、市場はこれを戦略的好材料とは受け止めなかった。比較対象となるMicroStrategyの事例と異なり、同社の提示条件や企業価値への懸念が株価に影を落とした。
急騰と急落を繰り返すGME株の動きは、仮想通貨との連動性を強める企業戦略に対し、市場がいかに慎重な姿勢を崩していないかを示している。
ビットコイン投資による高騰から一転 22.82%下落に至る経緯

GameStopは2025年3月26日、ビットコイン(BTC)への投資方針を発表し、株価は一時的に二桁の上昇を記録した。だが翌27日に13億ドル相当の転換社債による資金調達計画を発表すると、投資家心理は急速に冷え込み、28日には22.82%もの急落に見舞われた。これにより時価総額は一気に30億ドルも減少し、企業価値の約4分の1が失われた。
GameStopが参考にしたとされるMicroStrategyの動向では、社債発行後のプレミアム設定が高く、市場から一定の支持を受けていた。一方、GameStopの提示条件はそれに及ばず、加えて同社が掲げたビットコイン購入の戦略自体に不透明感が残ったことで、投資家の利益確定売りを誘発したとみられる。
株価変動は2024年6月以来最大の下げ幅であり、市場は単なる短期的調整にとどまらず、資金調達手法や企業の資本政策への懸念を強く意識している状況にある。
投資戦略の模倣と資金調達の違いがもたらした市場の温度差
GameStopのビットコイン参入は、MicroStrategyが築いた投資モデルをなぞる形とされたが、実際には両社の市場からの評価には大きな隔たりが生じた。MicroStrategyは過去に55%のプレミアムを設定し、2024年2月には20億ドル規模の社債を35%のプレミアムで発行するなど、条件面での強気な提示が好感されていた。これに対し、GameStopは明確な収益戦略やリスク耐性の裏付けが乏しいままに、低プレミアムの社債発行に踏み切ったことで、投資家からの信頼を獲得できなかったと考えられる。
加えて、GameStopは本業である小売事業の再建が依然として道半ばであり、事業構造上の脆弱性が財務戦略に対する不信感へと直結している。戦略的には仮想通貨保有が株価を支える可能性もあるが、それが機能するためには、企業全体としての価値創出モデルが明確であることが前提となる。
今回の急落は、仮想通貨という成長性の高い資産であっても、導入の仕方を誤れば市場に逆風をもたらすという、重要な教訓を示すものとなった。
Source:Watcher Guru