2025年3月27日、キャシー・ウッド率いるARK Investは最新の取引報告において、イルミナ株を合計14,400株売却し、リペア・セラピューティクス株を全て手放した。特にARKGは同社株112,880株(約11万4,000ドル相当)を一括売却し、過去1週間の動きと一致するポジション縮小を明確にした。
イルミナ株についても、ARKKおよびARKGを通じて段階的な売却が進められており、ゲノム解析分野への慎重な姿勢がうかがえる。なお、過去数日で買い増しが続いていたパシフィック・バイオサイエンシズに関しては、今回の報告で追加購入の動きは確認されなかった。ARKが描く成長株投資の方向性は、市場環境の変化を映し出す指標として今後も注視が必要である。
リペア・セラピューティクスからの全面撤退が示すARKの戦略転換

2025年3月27日の取引報告によれば、ARKGはリペア・セラピューティクス(NASDAQ:RPTX)の保有株112,880株をすべて売却し、約11万4,000ドルに相当するポジションを完全に解消した。これは過去1週間にわたって進行していた同銘柄からの段階的な撤退の最終局面であり、バイオテクノロジー分野に対するARKの投資判断に明確な変化が生じていることを示唆する動きである。
リペア・セラピューティクスはDNA損傷修復機構を標的としたがん治療薬の開発で注目を集めていたが、ARKがこのタイミングでの撤退を選んだ背景には、期待された進捗や収益性に対する見通しの鈍化があるとみられる。また、同銘柄の当日終値は前日比で2.07%下落しており、市場の反応も軟調だった点は見逃せない。
この売却判断は、革新性の高い領域に対しても、短中期のパフォーマンスが重視されるARKの運用スタンスを浮き彫りにしている。変化の早いバイオテク領域では、科学的ポテンシャルよりも実際の収益化や臨床進展が優先される状況が続いており、今回の撤退もその一環と位置づけられる。
イルミナ売却とPACB買い控えに見るゲノム関連銘柄への再評価
ARKは同日の取引でイルミナ(NASDAQ:ILMN)の株式を合計14,400株売却した。内訳はARKKが11,823株、ARKGが2,577株であり、これによりゲノム解析業界の巨頭に対する持ち株比率をさらに引き下げたことになる。イルミナの株価は同日0.66%下落しており、市場はこの売却を慎重に受け止めた様子がうかがえる。
一方、直近で買い増しが続いていたパシフィック・バイオサイエンシズ(NASDAQ:PACB)については、今回の取引報告に追加購入の記録が見られなかった。これはARKがゲノム解析分野全体に対する投資判断を一時的に見直している可能性を示す。特にイルミナとPACBは共に遺伝子解析技術をリードする企業であるが、競争激化や価格圧力が業界全体の収益性を揺るがしていることも背景にあると考えられる。
ARKは「破壊的イノベーション」に着目する運用哲学を掲げるが、革新的であっても市場との整合性が乏しい場合には大胆な調整を行う姿勢を示している。ゲノム解析が医療やライフサイエンスに革命をもたらす可能性は高いが、短期的な売上や実用化に課題が残る限り、投資妙味の評価は流動的となる。
Source:investing