アリスタ・ネットワークス元COOのアンシュル・サダナが設立した新興企業Nexthop AIが、AI向け大規模ネットワーク構築で急成長し、アリスタやエヌビディア、シスコなど既存大手の牙城に迫りつつある。

Nexthopは110億円超の資金を調達し、ハイパースケーラー向けにハード・ソフト・光通信を統合した独自設計のソリューションを提供するという。幹部陣の多くがアリスタ出身者で構成されており、競合各社の株価下落にも影響が及び始めている。

元アリスタ幹部が率いるNexthop AI 人材・資金で急成長を遂げる新星

Nexthop AIは、2024年5月にアリスタ・ネットワークスを電撃退任した元COOアンシュル・サダナが創業した新興企業である。設立直後ながら、Lightspeed Venture PartnersやKleiner Perkinsなど有力VCから1億1000万ドルの資金を調達し、短期間で注目を集めた。さらに、同社の経営陣8名のうち6名がアリスタ出身という陣容が物語る通り、ノウハウと人脈の蓄積も既存大手に引けを取らない。

Nexthopは「ハイパースケーラー」向けのカスタムネットワーキングソリューションに特化しており、ハードウェアからソフトウェア、光学系までを一体設計する構成を採用。ブロードコム製の最新シリコンを活用し、顧客ごとのニーズに応じた事前統合型ソリューションを提供する。これはアリスタやシスコといった従来型のネットワーク機器ベンダーとは一線を画すアプローチといえる。

こうした成長スピードと技術特化型の戦略が、クラウド大手やデータセンター運営企業との連携強化を可能にしている。特に、MetaやMicrosoftといった既存アリスタ顧客がターゲットとされている点は、ネットワーク業界にとって構造的な地殻変動を示唆している。

エヌビディアやアリスタ株に影を落とす新潮流 既存勢力の脅威となる構造変化

2025年に入り、エヌビディア株は年初来15%下落、アリスタ株も26%下落するなど、AI関連株に逆風が吹き始めている。その背景には中国スタートアップDeepSeekによる低コストなAIトレーニングモデルの台頭や、マイクロソフトが一部データセンター計画から後退したとの報道がある。一方で、こうした混乱の中からNexthop AIのような新興勢力が浮上してきたことも、既存大手にとって無視できないリスクとなりつつある。

Nexthopの特徴は、「JDM(共同開発製造)」モデルを活用し、OEM(アリスタやシスコ)とODM(セレスティカやAccton)の機能を併せ持つ設計体制にある。このモデルは、顧客が製造工程の一部に関与しながらも、外部の専門製造業者と連携できる柔軟性を持つ。結果として、ハイパースケーラーにとっては「自社開発か購入か」の選択にとらわれない新たな選択肢が生まれている。

これはネットワーク市場において、従来の汎用製品ベースの販売モデルから、顧客密着型・アプリケーション特化型へのパラダイムシフトを示唆する。資金と人材を両輪としたNexthopの台頭は、今後AIインフラ市場において、技術力だけではなく構造設計の柔軟性が問われる時代への転換点となる可能性がある。

Source:investors business daily