過去25年以上にわたり配当を増やし続けるS&P500の「配当アリストクラット」から、配当性向と成長率の両面で極めて健全かつ優秀な実績を示す3社が浮上した。Barchartの厳格なスクリーニングにより選出されたのは、Lowe’s、Nordson、Sherwin-Williamsの3社である。
これらはいずれも5年間で90%を超える配当成長率を記録しつつ、配当性向を25~38%の安全圏内に維持。中でもLowe’sは113.62%という圧倒的な配当成長を誇り、株価リターンでもSherwin-Williamsが5年間で146.88%の上昇を達成している。
安定的なキャッシュフローを求める投資家にとって、この3社は分散ポートフォリオにおける信頼性の高い収入源となる可能性がある。市場の不確実性が続くなか、配当の「質」に着目した戦略が再評価されつつある。
驚異的な配当成長率と堅実な配当性向で際立つ3銘柄の実力

Barchartが提示したスクリーニング条件のもと、Lowe’s、Nordson、Sherwin-Williamsの3社は他の配当アリストクラットを凌駕する実績を示した。5年間でそれぞれ113.62%、97.20%、89.40%という高水準の配当成長率を記録しながらも、配当性向はすべて60%を大きく下回り、財務の健全性が際立つ。配当性向が高すぎる場合、企業の資本投資能力が削がれ、将来的な減配リスクを伴うこともあるが、これら3社にはその懸念がない。
Lowe’sはDIY市場および建設業向けの流通において全米で確固たる地位を築き、ECへの拡張も順調に進んでいる。配当性向は37.76%と余裕があり、今後も増配を維持する余地を有する。Nordsonは60年以上にわたる連続増配という実績を持ち、精密ディスペンス分野での技術的優位性が安定収益の源泉となっている。配当性向は30.25%と極めて低く、利益の大半を内部留保に回している構造だ。
Sherwin-Williamsは配当利回りこそ0.91%と低めながら、配当性向は25.06%と最も控えめであり、成長投資と配当のバランスに長けている。過去5年間の株価リターンは146.88%にも達し、キャピタルゲインとインカムゲインの両面で投資妙味がある。これら3社は、配当アリストクラットの中でも“選ばれし存在”として際立つポジションにある。
成熟企業がなぜ高成長を維持できるのか
本来、配当アリストクラットの多くは成熟産業に属し、成長性よりも安定性が評価される傾向が強い。だが、今回選出された3社はいずれもその枠に収まらず、構造的な競争優位と事業モデルの柔軟性を活かすことで、極めて高い配当成長を実現している点が注目に値する。特にLowe’sは、住宅改修需要の底堅さとプロ顧客への深耕により、景気循環の影響を受けにくいビジネスモデルを構築している。
一方で、Nordsonの事業は航空宇宙・医療・電子部品など多岐にわたり、景気変動への耐性とイノベーション力を兼ね備えている。産業向け精密技術というニッチ市場での高収益構造が、60年以上という配当増加の歴史を支える原動力となってきた。Sherwin-Williamsに至っては、日用品とも言える塗料市場においてブランド力と流通網の優位性を最大限に活用し、収益性と成長性を両立させている。
これらの企業はいずれも、配当成長と企業成長を対立させるのではなく、内部投資・研究開発・株主還元のすべてをバランスよく追求している。単に「連続増配」を目指すのではなく、「無理なく増配を続けられる体質」こそが、真のアリストクラットと呼ぶにふさわしい条件である。市場全体がボラティリティを増す中で、安定と成長の両立を成し遂げているこの3社は、今後の投資戦略における指針となり得る。
Source:Barchart