AIインフラ企業CoreWeaveが15億ドルを調達し、2021年以降で最大規模となる米テックIPOを達成した。これによりAI関連銘柄への関心が再燃する中、ゴールドマン・サックスは依然としてパランティア株に対して「中立」の評価を維持し、目標株価を80ドルに据え置いた。この水準は前日終値を10%以上下回っており、現状の株価が割高であるとの認識が背景にある。

同社株は2025年の予想利益の280倍超で取引されており、マイクロソフトやエヌビディアと比較しても過熱感が顕著である。また、関税の影響によるリセッションやFRBの金利政策次第では、投資家心理の冷却も懸念される。さらに、トランプ前大統領が示唆した国防費削減は、収益の17%を米国防総省に依存するパランティアにとって無視できないリスクとなっている。


CoreWeaveの大型IPOが市場に与える影響と評価額の現実味

CoreWeaveが15億ドルの資金調達に成功し、時価総額は約200億ドルに達した。この上場は、2021年以降で最大規模のテックIPOであり、AIクラウドインフラへの市場の関心を再燃させる契機となった。Nasdaqへの上場により、同社はティッカーシンボル「CRWV」で取引を開始し、AIセクター全体の再評価にもつながっている。

しかし、その評価額の妥当性については慎重な見方も根強い。特に収益性や顧客基盤が明確に裏打ちされていない段階で、200億ドルという数字が先行している点は見逃せない。投資家心理がAIバブルの再来を思わせる過熱感に支配されている可能性も否定できない。大型IPOによる資金流入は一時的な追い風であっても、競争の激化や金利環境の変動を背景に、今後の市場評価が安定する保証は乏しい。

パランティア株の割高感と経済環境による脆弱性

ゴールドマン・サックスのアナリストであるガブリエラ・ボルヘス氏は、パランティア株に対し80ドルの目標株価を提示しながらも、「中立」のスタンスを維持している。同社株は2025年の予想利益の280倍超という異例の水準で取引されており、マイクロソフトやエヌビディアの約10倍の評価となっている。こうした過大評価は、景気減速や金利高止まりの局面ではリスク要因となる。

専門家の間では、関税主導によるリセッションの可能性が2025年末に向けて現実味を帯びつつあるとの見解もある。高PER銘柄は期待値が極端に高いため、業績未達時の調整圧力が強く働く傾向にある。また、FRBがインフレ抑制を優先し、利下げに慎重姿勢を示せば、成長株への資金流入は抑制されやすい。パランティアのような高評価銘柄は、金融政策の変動による打撃を受けやすい立場にある。

国防依存と政局リスクが及ぼす事業構造への不安

パランティアの収益構造は、防衛関連契約に大きく依存している。2024年において、米国防総省からの収益は同社全体の約17%を占めており、国策や政権の動向が直接的に業績に影響を及ぼす。ドナルド・トランプ前大統領が国防費の大幅削減に言及したことは、同社にとって見過ごせない懸念材料である。

防衛分野における受注減少は、中核事業の成長鈍化や収益性の圧迫に直結する。特に、官需依存度が高い企業においては、政治的リスクの増幅が事業継続性への疑念を招く。仮に国防支出が削減されれば、パランティアは民間セクターへの事業転換を余儀なくされる可能性があるが、その競争環境は厳しく、短期的な業績悪化は避けられない。収益基盤の脆弱性は、今後の株価動向にも影響を及ぼすだろう。

Source:Barchart