米GameStopは3月27日、13億ドル規模の転換社債を発行し、ビットコイン購入を含む新戦略への資金とする計画を発表した。2030年満期のこの社債は、現金または同社株式に転換可能で、株価に対し37.5%のプレミアムが設定されている。これにより同社株は当日22%以上下落し、昨年6月以来最大の急落を記録した。
CEOライアン・コーエンが主導するこの方向転換は、ビデオゲーム小売業から資産運用的色彩の強いモデルへの転換を示唆するが、市場の初期反応は懐疑的だ。GameStopは売上が縮小する一方、コスト削減により利益体質を改善しており、現預金等も48億ドルにまで積み上げている。
一方、ウォール街では2027年度に売上が25億ドルに減少すると予測され、現在のPER45倍という株価水準に対しては割高感が根強い。唯一のカバレッジアナリストは「強い売り」を推奨し、目標株価を10ドルと提示している。
転換社債による資金調達とビットコイン投資戦略の全容

GameStopは13億ドルの転換社債を発行し、その資金でビットコインを取得する方針を明らかにした。社債は2030年満期で、適格機関投資家向けに提供され、さらに2億ドル分の追加購入オプションが設定されている。債券は現金またはクラスA株式、もしくはその両方で転換可能であり、転換価格には発表当日の加重平均株価に対し37.5%のプレミアムが付与されている。
本調達は「一般的な企業目的」とされるが、明言されたビットコイン投資を含む内容からは、CEOライアン・コーエンが掲げるマイクロストラテジー的モデルへの傾斜が読み取れる。GameStopはすでに現金および市場性証券で約48億ドルを保有しているが、暗号資産への本格参入にはさらなる資金と市場に対する信頼獲得が不可欠となる。
市場の反応は冷ややかであり、発表当日の株価は22%以上下落。前日に12%上昇していた反動を加味しても、市場がこの大胆な戦略に懸念を抱いていることは明白である。資産運用型モデルを志向する姿勢は新しい企業像を描くが、その移行には市場との信頼構築が求められる。
利益構造の転換とボラティリティの狭間に立つGME株の評価
GameStopの業績は、売上高が減少傾向にある一方で、利益率の改善が顕著である。2024年度第4四半期では売上が前年同期の17億9000万ドルから12億8000万ドルに減少したが、純利益は6310万ドルから1億3130万ドルへと倍増した。背景には、販売費および一般管理費の大幅な削減があり、3億5920万ドルから2億8250万ドルへの圧縮が効いている。
収益構成を見ると、ハードウェア・アクセサリーが54.9%、ソフトウェアが26.3%、収集品が18.8%を占めており、旧来のゲーム小売から幅を広げる構造変化も進んでいる。同社はまた、欧州での業務整理も進めており、イタリア事業の売却やドイツの店舗閉鎖なども実行に移した。
こうした収益構造とコスト管理の成果は一定の評価に値するが、株式市場では依然としてGME株に高いリスクが付きまとう。2027年度には売上が25億ドルまで落ち込むとの予測がある一方で、調整後EPSは0.47ドルへ拡大する見込みとされる。PERは45倍と高水準であり、仮想通貨市場の変動と連動しやすい状況が今後の株価に不確実性をもたらすことは避けられない。
アナリスト評価と市場の警戒感が示すGameStopの課題
GameStop株に対する市場のセンチメントは依然として厳しく、記事執筆時点で同銘柄をカバレッジしているアナリストはわずか1名にとどまる。そのアナリストは「強い売り」を推奨し、目標株価を10ドルに設定しているが、これは現在の水準から50%以上の下落を意味するものである。これは、現状のビジネスモデルと戦略転換に対する信頼の欠如を映している。
企業価値が実態と乖離しやすいミーム株として知られるGMEは、過去にも個人投資家による短期的な投機対象となった経緯を持つ。今回のビットコイン投資計画も、こうした過去の記憶を呼び起こし、持続可能性への懸念を強める要因となっている。特に仮想通貨市場のボラティリティは高く、企業の財務戦略に組み込むにはリスク管理が重要となる。
このような状況下では、短期的な株価の浮沈よりも、GameStopがどのように実効的な企業変革を成し遂げるかに市場は注視している。財務面の改善は一定の成果を見せているが、それが戦略の持続性と説得力につながるかは、今後の展開にかかっている。市場が本格的に評価を改めるには、ビジョンを具体的な実績へと結びつける必要がある。
Source:Barchart.com