米フィンテック企業SoFiの株価が2024年初頭から23%下落した。足元では調整後EBITDAや売上が堅調に拡大し、通年黒字を初達成するなど事業基盤は強固であるにもかかわらず、マクロ経済の不透明感と市場心理が株価の重しとなっている。

同社は2025年に会員数28%増、売上高最大26%増を見込んでおり、収益源の多様化やローンプラットフォームの転換も進展。銀行ライセンス取得以降、260億ドルの預金基盤を築き、財務体質も安定しつつある。

短期的なリスクを抱えつつも、長期成長への確度は高まっており、市場は今回の下落を一時的な調整と見るか、根本的な警戒シグナルと捉えるかの岐路にある。


会員数と製品の拡大が牽引する収益構造の進化

SoFiは2020年以降、会員数と製品数の年平均成長率をそれぞれ53%、55%で維持しており、急速な顧客基盤の拡大が収益構造の変革を促している。2025年には会員数が前年から280万人増加し、売上高は23%〜26%の伸長が見込まれる。この増加は新製品の利用拡大に直結し、1会員あたりの収益性向上にも寄与する構造を形成している。

また、調整後純収益は2024年に26億ドルへと前年比26%増加し、そのうち金融サービスおよびテクノロジープラットフォーム部門の構成比は47%に上昇した。これは前年の38%から大幅な拡大であり、フィー収入型のビジネスモデルへの転換が加速していることを示す。特に手数料収益は74%増の9億7,000万ドルと高水準で、ローンの組成手数料や決済・証券仲介サービスが主な牽引役となっている。

このような構造転換により、SoFiは今後の景気変動に対しても相対的に安定した収益確保が可能なポジションを築きつつあるといえる。成長の裏付けとして、売上成長とEPS(1株当たり利益)の両立を掲げており、2026年までにEPSを0.55〜0.80ドルに到達させた上で、以後も年20〜25%の成長維持を目指している。

ローン事業のモデル転換と預金基盤の拡充がもたらす競争優位

SoFiは従来の自社保有型ローンモデルから脱却し、提携先との協業によりローンを組成しつつもバランスシート上に保有しない手法へと移行した。これにより信用リスクの軽減とフィー収益の安定確保が可能となり、ローンのサービス権利を保持することでクロスセルの機会も確保している。これはスケーラブルかつ効率的な成長モデルへの変革であり、資本負担を抑えながら持続可能な収益性を志向する姿勢が読み取れる。

加えて、2022年の銀行ライセンス取得以降、預金残高は260億ドルへと急拡大しており、低コストでの資金調達が現実のものとなっている。この点は金利上昇局面において競争他社との差異を生み、利息支出の抑制によって最終利益の底上げに直結する。また、預金を通じた顧客接点の強化は、サービス横断的な提供にも有利に働く。

外部環境が不安定である中にあっても、ローンプラットフォームと預金基盤の両輪が機能するSoFiの戦略は、短期的な収益圧力を緩和する役割を果たしている。過度なリスクを取らずとも成長を追求できる現在の体制は、同業他社との差別化要因として極めて重要である。

Source:Barchart.com