アスレチックウェア大手Lululemon Athleticaの株価が2024年に24%下落し、同社は米国市場の低迷や競争激化、製品刷新の遅れといった複合的課題に直面した。業績では通年売上106億ドル、EPS14.64ドルを記録し、特に国際事業の38%成長が寄与したが、アナリスト予想を下回る2025年見通しに市場は反応を示した。

2025年は売上成長率が5%〜7%と鈍化し、EPSも2%〜3%の微増にとどまる見込みで、インフレ、関税、為替変動といった外部要因が収益を圧迫する可能性がある。新規出店や製品イノベーションには期待が残るものの、過去の高成長と比べ投資家の慎重姿勢は続くとみられる。

米国市場の停滞と国際部門の対照的成長

Lululemon Athleticaの2024年は、米国市場における売上の鈍化が顕著となり、業績全体に影を落とした。一方で、同年の国際市場では前年比38%という際立った成長を遂げ、特に北米以外の地域におけるブランド浸透の加速が目立った。通年売上は106億ドルに達し、前年から10%の伸びを記録したほか、調整後EPSも14.64ドルと堅調に推移した。

第4四半期では売上が36億ドル、うち米州で7%、国際市場で38%の伸びを示し、地域間での成長格差が鮮明となった。こうした構造は、米国の需要鈍化や消費支出の抑制が引き起こす市場疲労感を映し出すものであり、同時に国際戦略の有効性を裏付ける。製品イノベーションの成果がアメリカで徐々に奏功しつつある兆候も見えるが、なお市場回復には時間を要するとの見方が妥当である。

現在の成長の重心が国外に移行している点は、経営資源の再配分や販促戦略の見直しを促す可能性がある。米国市場の反発力に依存する構造からの脱却を模索する中で、Lululemonの国際展開がどこまで継続的な収益源に成長できるかが注目される。

成長鈍化の兆候と株式市場の慎重な評価

2025年度のLululemonは、売上成長率5〜7%、EPS成長率2〜3%という控えめなガイダンスを公表しており、過去の勢いと比較して明確な減速傾向にある。特に、2021年度の売上62.5億ドルから2026年度に125億ドルを目指す「Power of Three ×2」戦略を進める中で、2025年の成長停滞はその達成ペースへの不安材料となり得る。

業績見通しの発表後、株価はプレマーケットで下落を示し、投資家心理の冷え込みが表面化した。ウォール街の評価は「Moderate Buy(適度な買い)」にとどまり、予想PER22倍という水準は成長減速を加味すると割高感を拭えない。企業側はマクロ経済の逆風やインフレによる消費者行動の変化、関税リスク、為替変動といった外的要因を懸念しており、これらが収益の上振れ余地を制限する構図にある。

もっとも、同社は2025年において小売店舗を約10%増設する計画を掲げており、成長ドライバーとしての新規出店や商品刷新は継続する方針である。ただし、こうした施策の効果が短期的に業績へ与えるインパクトには限界がある。株式市場が慎重なスタンスを崩さない背景には、明確な業績加速のシグナルが欠如している点が挙げられる。再評価には確実な実績の積み重ねが必要とされる。

Source:Barchart