MicrosoftはWindows InsiderプログラムのDevチャンネルにて、Windows 11の新たなプレビュー版「ビルド26200.5516」を公開した。最大の変更点は、従来ネット接続不要の初期設定を可能にしていた非公式手段「bypassnro.cmd」の削除である。この仕様変更により、初期セットアップ時にインターネット接続およびMicrosoftアカウントの使用が事実上必須となる。
一方、Copilot+ PC向けにはローカルセマンティック検索の導入により、自然言語によるファイル検索が大幅に強化された。さらに、クラウド上のOneDrive写真への横断検索機能や視覚障害者支援のナレーター強化、クラッシュ画面UIの刷新など、UI/UXとアクセシビリティの両面でも進化がみられる。
導入された新機能は今後の企業運用やエンドユーザー体験に影響を与える可能性がある一方、既知の不具合も複数残されており、安定運用には慎重な評価が求められる。
インターネット接続必須化に伴う初期設定環境の再定義

Windows 11ビルド26200.5516において、長らく一部ユーザー間で利用されていた「bypassnro.cmd」が削除された。この非公式スクリプトは、初期セットアップ時にMicrosoftアカウントを回避し、インターネット接続なしでローカルアカウントを作成する手段として活用されていた。
今回の改定により、Microsoftはユーザーの初期環境における一元管理とクラウド連携をより強固に推進していく姿勢を明確にしたといえる。
これにより、セットアップ時の柔軟性は失われ、オフライン環境や限定的なネットワークで運用される現場、検証機環境などでは影響が無視できない。エンタープライズ用途においてはMDMやWindows Autopilotなどの管理ツールで吸収可能だが、中小規模の環境では移行対応に一定の工数を要する場面も想定される。利便性と統制のバランスが再考を迫られる変更である。
セマンティック検索とCopilot機能が示すPCインターフェースの方向性
本ビルドでは、Copilot+ PCを対象にローカルセマンティック検索が導入された。ファイルエクスプローラーや設定検索において、インデックス構造に依存しない意味ベースの解析が可能となり、「夕日の橋」や「予算に関する資料」といった自然言語での検索に応答できる設計である。
.txt
や .pdf
、.jpg
など多様なファイル形式に対応しており、クラウド保存されたOneDrive写真にも横断的に適用される点は注目に値する。
これにより、ユーザーは文脈に基づいた情報探索を行えるようになり、検索行動そのものがUIの中心へと昇格しつつある。WindowsがAI支援型インターフェースへの転換を進めていることは、Win + C
によるCopilotの即時起動機能や「プッシュトゥトーク」によっても裏付けられる。
今後、従来のアイコン中心の操作体系から、対話と文脈理解による操作パラダイムへと進化する可能性があることを本ビルドは示唆している。
UIとアクセシビリティの刷新に見る継続的なユーザー体験の最適化
26200.5516では視認性や直感性を意識した複数のUI改修も含まれている。特に注目すべきは、システムクラッシュ時に表示されるグリーンスクリーンのデザイン変更である。従来よりも簡潔化された表示が採用され、情報の伝達性を重視した構成となっている。視覚的混乱を避け、ユーザーに的確な状況把握を促す意図がうかがえる。
また、ナレーター機能には「スピーチリキャップ」が実装され、視覚障害者が発話内容の再確認やコピーを行えるようになった。ナレーターキー + X
などのショートカット操作を通じて、補助技術との親和性が向上している。こうした細部の積み重ねは、Windowsが目指す包括的なユーザー体験の進化を象徴しており、単なる機能強化ではなく利用者の多様性に応える配慮が随所に現れている点が評価される。
Source:Neowin