インテルは過去数年、Raptor Lakeの不安定さやArrow Lakeの期待外れな性能により、市場の信頼を揺るがしてきた。だが、2024年初頭に就任した新CEOリップ・ブー・タンが株主向け書簡で語った内容により、次世代CPU「Panther Lake」と「Nova Lake」の投入計画が依然として順調に進行中であることが明らかとなった。

同氏は、「明確な課題はあるが、大きな機会も存在する」とし、モバイル向けPanther Lakeは2025年中、最大52コアを搭載するとされるNova Lakeは2026年投入予定と表明。近年の懸念を払拭しうる展望に業界内外の注目が集まりつつある。

Panther LakeとNova Lakeの投入計画が示すIntelの再構築戦略

インテルの新CEOリップ・ブー・タンが株主宛に示した最新の製品ロードマップによれば、次世代CPUであるPanther LakeとNova Lakeは予定通りの開発が継続されている。Panther LakeはIntel 18Aプロセス上で製造され、2025年後半の市場投入が計画されている。

これは主にノートPC向けに設計された高効率モバイルCPUであり、Core Ultra 300シリーズとして展開される見通しである。加えて、2026年には最大52コアの構成が検討されているNova Lakeが登場予定とされ、こちらはデスクトップとノート双方を対象とする次世代アーキテクチャである。

CEO交代後間もない時期にこうした明確な製品スケジュールが示されたことは、これまでの混乱を収束させるシグナルとして機能する。

特に、過去にArrow Lakeの性能が期待を下回り、Raptor Lakeでも安定性の問題が指摘されたことを踏まえると、今回は内部での工程管理と製品設計に対する再点検が行われた可能性が高い。製品リリース時期を2025年と明言したことで、投資家への信頼回復と競合に対するけん制の両面を狙った動きといえる。

インテルの課題と好機 CEO書簡が示す変革の焦点

リップ・ブー・タンCEOが株主に宛てた書簡では、現状の課題と将来の展望が明確に言及された。同氏は、同社が依然として解決すべき課題を抱えていることを率直に認めたうえで、「立て直しを加速させる機会が存在する」との見解を示した。これは過去の製品における技術的問題やパフォーマンスの低下に対する反省を背景とし、組織改革と製品戦略の再設計に取り組んでいることを示唆する発言である。

一方で、今回示されたロードマップには、新体制下での明確な意思決定の兆しが表れている。特にIntel 18Aプロセスによる製造計画の継続は、同社が半導体製造技術の内製化を強化しようとしている意図を感じさせる。

また、52コアのNova Lakeというスペックに関する初期情報は、性能競争が激化する市場におけるアグレッシブな姿勢を示す一端といえる。もっとも、これらの構想が実現されるには今後の設計と製造の整合性が不可欠であり、スケジュール通りに展開されるかは不透明な部分も残されている。

Source:Digital Trends