NVIDIAは2025年初頭に、上位モデルRTX 5080とミッドレンジのRTX 5070 Tiを相次いで市場投入した。いずれも最新のGDDR7メモリとPCIe 5.0に対応し、16GBのビデオメモリを搭載。外見上は類似しているが、演算ユニット数やシェーダー数に最大20%の差があり、性能面では5080が一歩抜けている。
価格面では、5070 TiがMSRPで25%安価となっており、1440p環境での使用を前提とした際には十分な選択肢となりうる。ただし、どちらも市場では定価通りの入手が困難で、実勢価格は不安定。冷却性能や消費電力を含めた総合判断が求められる。
今後DLSS 4の対応状況や在庫供給の安定度が鍵を握る可能性が高く、購入のタイミングと用途を見極めた判断が重要となる。
RTX 5080と5070 Tiが示す仕様差 数値が語る明確な性能の分岐点

RTX 5080は演算ユニット84基、シェーダー数10,752、テンソルコア336基と、5070 Tiの70基・8,960基・280基をすべて上回り、純粋な処理能力で差をつけている。さらに、メモリ速度は5080が30Gbps、5070 Tiは28Gbps、帯域幅も960GB/s対896GB/sと、細部にわたる性能格差が設計上に明確に刻まれている。
クロック数も5080は2,617MHzと5070 Tiの2,452MHzより高く、ピーク性能が高い。TGPは5080が360W、5070 Tiが300Wで、ワット当たりの効率よりも絶対性能の追求が意図された構成と見られる。冷却性能についても5080のFounders Editionに採用された構造は、従来モデルよりスリムかつ高効率な設計となっており、高負荷時の安定性を確保する。
一方、5070 Tiは価格とのバランスを考慮した設計でありながら、GDDR7メモリやPCIe 5.0のような最新技術を共通採用しており、中間層GPUとしての完成度は高い。RTX 4080 Superに匹敵する実効性能を有しつつ、コストパフォーマンスの軸で競合力を持つ点は注目に値する。
実勢価格と性能のせめぎ合い 消費者判断を揺さぶる選択の構造
RTX 5080はMSRPが$999で、5070 Tiの$749より約33%高い設定となっている。単純な数値では5080の方が性能優位だが、価格上昇幅が性能差に見合うかは用途次第で判断が分かれる。ベンチマークでは『Cyberpunk 2077』や『Dying Light 2』などの4K環境において5080が平均10〜20%高いフレームレートを記録しているが、1440pではその差が縮小し、5070 Tiが競り合う場面も多い。
この状況は、単に高性能モデルを選ぶか否かではなく、「解像度」「電源容量」「DLSS対応タイトルの比率」など複数要素のバランスを取る戦略的選択に近い。さらに、5070 TiはFounders Editionが存在しないため、市場ではパートナー製AIBモデルに価格が依存し、転売や流通の不安定性が消費者の判断を複雑にしている。
価格差とパフォーマンス差が比例していない点が、両者の比較における最大の焦点である。4Kゲーミングを主眼に置くか、DLSSやマルチフレーム生成の活用によって費用対効果を狙うかで、選択肢は根本から変わってくるだろう。
Source:TechRadar