Intelが期待されたハイエンドGPU「Battlemage」の開発を終了した可能性が浮上した。リーク情報によれば、最上位モデルBMG-G31はすでに昨年第3四半期に開発が打ち切られたとされ、次世代「Arc Celestial」の進捗も不透明である。

GPU市場ではNvidiaの高価格帯支配とAMDの供給不安定が続き、ユーザーの選択肢が著しく制限される中、Intelによる性能と価格の両立が期待されていた。現行のArc B580は主流市場向けだが、上位機種の欠如は戦略的な空白を生む可能性がある。

ディスクリートGPU市場での巻き返しを狙うIntelにとって、今回の動きは機会損失に直結しかねない。Celestialが限定的な形でも登場する余地は残されているが、その登場時期は2026年以降にずれ込む可能性も否定できない。

Intelが高性能GPU市場から一時撤退か Battlemage開発終了の波紋

ハードウェア情報提供者JaykihnがX上で明かした内容によれば、Intelはかねてより開発が噂されていたBMG-G31、通称Battlemageのフラッグシップモデルの開発を2023年第3四半期に終了していたという。これにより、同社が現在展開しているArc B580に続くハイエンドモデルの登場は望みにくい情勢となった。

BattlemageはArc A770の後継となると見られていたが、価格競争力と性能の両立を図る戦略の中で、より手頃な価格帯へのシフトが図られた格好だ。

一方、次世代の「Arc Celestial」シリーズに関しては、「報告することは何もない」とJaykihnが述べており、開発の進行状況すら明らかにされていない。

IntelがCelestialプロジェクトに大規模な投資を行ってきたことを踏まえれば、完全な開発中止とは断定できないが、ハイエンド分野への積極姿勢が後退していることは明らかである。これにより、IntelのディスクリートGPU戦略は根本的な見直しを迫られる局面に差し掛かっている可能性がある。

今後、Intelが再び高性能GPU領域へ参入するか否かは、競合各社の動向と市場の需要次第といえるが、現時点では中価格帯に資源を集中する方針が見て取れる。グラフィックス市場における選択肢の縮小は、価格高騰と在庫不足に直面するユーザーにとっては深刻な影響を及ぼすものとなる。

Arc Celestialの不確実性とIntelの中長期戦略への影響

Battlemageに続く高性能GPUとして期待された「Arc Celestial」シリーズの存在は依然として不確実性に包まれている。Jaykihnによると、同シリーズに関して報じるべき情報はなく、開発継続の有無すら明確にされていない。

Intel自身はこれまで、Celestialの研究開発に多大な資源を投入しており、完全なキャンセルに至る可能性は低いと見られるものの、登場時期や製品ラインナップの規模は予断を許さない状況である。

特に注目すべきは、BattlemageがノートPC向けに展開されない可能性があるとの情報である。これが事実であれば、モバイル向けGPU市場におけるIntelの競争力は大きく削がれることになる。

ノートPCの需要が拡大を続ける中、モバイル向けGPUの供給を見送ることは、将来的な市場シェアの維持にも影響を及ぼしかねない。こうした動きは、Intelが従来志向してきた垂直統合型戦略からの方針転換を意味する兆候とも読み取れる。

現在Intelが注力しているArc B580は250ドルという価格帯で一定の評価を得ており、ミッドレンジ市場での足場を固める姿勢が鮮明である。ただし、上位機種の開発中止や不透明な次世代製品の展開は、業界全体における技術革新のスピードを緩める要因となり得る。Intelが競争力のある高性能GPUを再び投入するか否かは、同社の今後の技術戦略と市場再編に大きな影響を与えるだろう。

Source:Tech Edition