Nvidiaの次世代モバイルGPU「RTX 5090」を搭載したゲーミングノートPCの初期ベンチマークが各メディアにより公開された。テストに用いられたのはRazerの新型「Blade 16」で、価格は4,400ドル。厚さ0.7インチの筐体に高性能GPUを搭載するという挑戦的な設計が注目を集めている。
初期の性能検証では、前モデルRTX 4090との比較において平均10fps程度の改善が確認されたが、多くのベンチでは性能差は限定的だった。特にCPUのボトルネックや熱設計の制限が影響している可能性があるとされる。一方、旧世代の3080 Tiとの比較では約40%の性能向上が見られた。
注目すべきは、Nvidiaが推進する新技術「マルチフレーム生成(MFG)」によるフレームレートの飛躍的な向上である。これにより見かけ上のパフォーマンスは大きく向上するが、実際の遅延や体感には限界もある。3月31日には本GPUを搭載した複数機種が発売される予定であり、今後の実機レビューと冷却・電力設計の成熟が期待される。
Razer Blade 16に見るRTX 5090搭載モデルの設計的限界と可能性

初のRTX 5090搭載ノートPCとして注目されたRazer Blade 16は、厚さわずか0.7インチという薄型筐体に最新GPUとRyzen AI 9 HX 370を搭載した構成で各メディアの検証対象となった。
NotebookcheckやComputerBaseなど複数の媒体による初期ベンチマークでは、前世代のRTX 4090と比べ平均10fps前後の性能向上が確認される一方、全体的な処理性能において大きな飛躍は見られていない。さらに、テスト環境によっては両GPUの性能がほぼ同等という結果も示された。
この背景には、筐体の薄型化による熱処理能力の限界があると考えられ、長時間の高負荷状態では安定的な冷却が困難になる設計上の制約が影響していると見られる。また、Blade 16は高価格帯に位置づけられたモデルであり、$4,400という価格に対する性能上の説得力が問われる局面でもある。
とはいえ、旧世代の3080 Tiと比較すると約40%の性能向上が記録されており、特に数世代前のマシンからの買い替えを検討する層にとっては、確実な進化を体感できる構成であることは否定できない。今後は他社からもRTX 5090搭載モデルが登場することで、冷却設計や電源供給面での最適化が図られ、同GPUの本来のポテンシャルが解き放たれる可能性がある。
マルチフレーム生成がもたらす体感性能の変化と課題
今回のRTX 5090では、従来世代を上回る性能向上が限定的である一方、「マルチフレーム生成(MFG)」という新たな描画技術が性能体感において大きな役割を果たしている。
これは実際にGPUが生成するフレームとは別に、中間フレームを補完することで、見かけ上のフレームレートを3倍から4倍に引き上げるものである。Razer Blade 16はこの技術を強調するかのように、240Hzの1600pディスプレイを搭載し、視覚的滑らかさの強化を前面に押し出している。
一方で、MFGによって向上したフレームレートはあくまで視覚上の効果であり、操作時のレスポンスに直結するわけではない。実フレームレートと同程度の入力遅延を感じる可能性が指摘されており、eスポーツや高速レスポンスを求める用途では恩恵が限定的となる場合もある。
つまり、フレーム数の増加はプレイ体験に寄与するが、インタラクションの即応性までは保証されない。今後、MFGの発展とあわせて実フレームとの整合性をいかに高めるかが、ハイエンドGPUの設計における鍵を握ることとなろう。視覚性能と実行性能、その両輪のバランスが、ポストRTX時代に求められる新たな評価軸となりつつある。
Source:TechSpot