暗号資産Cronos(CRO)が、米トランプ・メディアとCrypto.comによる提携発表を契機に急騰し、直近1週間で37.31%の上昇を記録した。3月24日から25日にかけての高騰を中心に、3月28日時点で0.10681ドルまで価格を維持している。
両社は、暗号資産ETFなどの新金融商品の開発を含む拘束力のない合意を発表しており、CROはトップ100銘柄中で最も好調な週次パフォーマンスを示した。この提携は、仮にトランプ再選となれば、規制当局の姿勢にも変化が生じる可能性を示唆している。
一方で、トランプ・メディア株(DJT)は一時上昇したものの、その後反落し、記事執筆時点では19.59ドルと発表前の水準を下回って推移している。
CRO急騰の背景にあるCrypto.comとトランプ・メディアの戦略的合意

Cronos(CRO)の急騰は、3月24日に発表されたCrypto.comとトランプ・メディア(NASDAQ: DJT)の提携によって一気に加速した。両社は暗号資産ETFなどの金融商品の開発に向けた拘束力のない協定を結び、米国市場における新たな投資機会の創出を掲げている。CROはこの発表直後に価格が31.25%上昇し、1週間で37.31%の伸びを記録。週末時点でも高値圏を維持しており、暗号市場全体が下落基調にある中で異例のパフォーマンスを見せた。
Crypto.comのマルシャレクCEOとトランプ・メディアのヌネス会長は、米国経済に貢献する革新的技術を支援するファンドの構築を表明しており、これが市場心理に強く作用したと見られる。特にCROが採用される可能性がある金融商品への期待は大きく、投資家の短期的な資金流入を誘発した構図といえる。とはいえ、今回の合意は法的拘束力を持たないものであり、実際のETF立ち上げや規制面の調整など、今後の進展に依存する部分も大きい。短期的な熱狂を超え、持続的な成長軌道に乗せられるかが次の焦点となる。
規制期待と政治的文脈が暗号資産市場に与える影響
今回の提携は、単なる企業間協業にとどまらず、暗号資産業界と米国政治との接点を浮き彫りにした点でも注目に値する。特に、トランプ政権が復帰すれば米証券取引委員会(SEC)の姿勢が軟化するとの見方は根強く、ETF承認に前向きな環境が生まれるとの期待が市場に広がっている。この期待感がCROの上昇を支えるひとつの要因となったと考えられる。
また、ヌネス会長が「目覚めた思想や政治的演出に縛られない投資」と強調した発言は、政治的スタンスを明確にした金融商品の登場を示唆しており、保守層を中心とする投資家層への訴求を狙ったものと見られる。これは、従来のESG投資とは一線を画す新たな潮流として、今後の金融商品の選別軸に影響を与える可能性がある。ただし、このような政治色を帯びたファンドの評価には慎重な見極めが求められ、感情的な支持のみで市場が動く構造には脆弱性も残る。市場の動きが一過性のものであるか否か、今後の資金フローと規制動向が鍵を握る。
Source:Finbold