2025年3月28日時点の24時間で、仮想通貨市場全体の時価総額が約3.7%下落し、1000億ドル以上が失われた。ビットコインの上昇によって一時的に回復傾向にあった投資家心理は再び悪化し、「Fear & Greed指数」は年初来最低水準の「33」にまで落ち込んだ。
下落の背景には、S&P500の牽引役「マグニフィセント・セブン」の急落や自動車業界の続落といった株式市場の動揺があり、仮想通貨市場もその影響を強く受けたとされる。また、トランプ前大統領の関税政策やシリコンバレーの過熱感がリスク要因として懸念を呼んでいる。
一方で、ビットコインやXRPに対する長期的な強気予測も存在し、著名投資家のマイケル・セイラー氏は時価総額が500兆ドルに達する可能性を言及。短期的な市場の動揺とは対照的に、根強い強気姿勢も市場には共存している。
株式市場から波及した急落 仮想通貨時価総額は24時間で2.71兆ドルに

2025年3月28日時点で、仮想通貨市場は前日比3.70%の急落を記録し、24時間で時価総額が1,000億ドル以上失われた。CoinMarketCapのデータによれば、時価総額は2.71兆ドルまで縮小し、ビットコインの2週間連続上昇という好材料にもかかわらず、市場の楽観ムードは急速に崩れ去った。
この暴落の引き金は株式市場の連鎖的な動揺にあるとされる。S&P500構成銘柄の中核である「マグニフィセント・セブン」の下落が今週前半に発生し、それに続いて自動車関連株も軟調となった。特にトランプ前大統領による関税政策への懸念や、シリコンバレーのデータセンター需要がバブルに近いとの見方が、テックセクター全体の圧力となった。
このようなリスクオフの動きは、仮想通貨市場にも迅速に波及した。過去1年間において、仮想通貨市場は外的な弱気材料には過敏に反応する一方で、内部の強気材料には反応が鈍い傾向がある。今回も例外ではなく、株式市場の不安がそのまま暗号資産市場に伝染した構図である。
「Fear & Greed指数」が示す市場心理の急変 投資家は再び恐怖に傾斜
「Fear & Greed(恐怖と欲望)指数」は、投資家の心理状態を示す重要指標として注目されている。Finboldによれば、2025年3月28日時点でこの指数は「33」にまで低下し、今年の最低水準に接近した。わずか数週間前まで指数は回復傾向にあり、仮想通貨市場には再び強気の風が吹き始めていたが、この24時間の暴落によってその期待は突如として冷水を浴びせられた。
この指数は市場の過熱感や冷え込みを数値で視覚化するもので、今回の「33」という数値は、2024年3月から2025年2月の平均をも大きく下回る。特に過去12ヶ月で最も低調な水準に投資家心理が戻ったことは、短期的には市場の不安定さが継続する可能性を強く示唆している。
ビットコインの上昇、XRPへの楽観的見解といったポジティブ要因が存在するにもかかわらず、市場心理は極めて脆弱であり、外部要因ひとつで容易に「恐怖」へと転じる状況にある。これは仮想通貨市場が成熟市場とは異なり、未だ投機的要素の強い構造にあることを浮き彫りにしている。
セイラー氏とマルティネス氏の見通しに見る中長期的な強気論
短期的な価格下落の裏で、仮想通貨に対する長期的な強気見通しは依然として根強い。Strategy社のマイケル・セイラー氏は、2025年のブロックチェーン・サミットでビットコインの将来的な時価総額が500兆ドルに達する可能性を示唆し、2021年に自身が掲げた100兆ドルという予測を大きく上方修正した。この発言は過熱気味な期待とも取られかねないが、資産保全手段としてのビットコインの地位拡大を見据えたものと解釈できる。
一方で、XRPについてもアナリストのアリ・マルティネス氏が3ドルを超えた場合の強気相場入りの可能性を指摘した。これに対し、仮想通貨コミュニティも期待感を強めているが、3月28日の動向次第では地合いがさらに悪化するとの見方もあり、冷静な判断が求められる。
こうした強気の見通しは市場の不安定さと表裏一体であり、今後の価格推移を見極めるには、短期的な価格動向よりも中長期の構造変化や政策リスクへの感度に注目する必要がある。価格の一時的な上下よりも、仮想通貨の社会的・金融的ポジションの変化こそが本質である。
Source:Finbold