2024年第4四半期、スマートフォン向けSoC(システム・オン・チップ)市場において、MediaTekが34%のシェアで7四半期連続のトップを維持した。ミッドレンジやエントリークラスを主軸とした戦略が奏功し、Dimensity 8350やHeliosシリーズなどの製品が安定した需要を支えている。

一方で、フラッグシップモデルを担うQualcommはシェアを21%に落とし、iPhone 16シリーズの好調を背景にAppleが23%に上昇し逆転を見せた。SamsungのExynosは依然として苦戦が続き、シェアはわずか4%にとどまっている。

数で攻めるMediaTek ミッドレンジ戦略が築いた首位の座

2024年第4四半期、Counterpoint Researchのデータによれば、MediaTekは34%のシェアでグローバルなスマートフォン向けSoC市場をリードし続けている。これで7四半期連続の首位となり、Dimensity 8350や8400といった新たなミッドレンジ向けチップの投入がその勢いを支えている。また、Heliosシリーズがローエンド市場でも確実に存在感を発揮しており、幅広い価格帯での浸透が見て取れる。

フラッグシップ端末のスペック競争に目を奪われがちだが、実際の出荷台数や市場を牽引しているのは、中間層をターゲットにした手頃な価格のスマートフォンである。MediaTekはその実情を捉え、スペックとコストのバランスに優れたチップセットを提供し続けてきた。性能と価格の両立が求められる今、ミッドレンジ向けの安定供給は高評価に繋がっている。

一方で、これらのチップが爆発的な性能を誇るわけではない。しかし、動画視聴やSNS、ゲームといった日常的な用途では必要十分なパフォーマンスを確保しており、多くの利用者にとってはむしろ過剰なスペック競争から一歩引いた選択肢が魅力となっている。

AppleがA18シリーズで躍進 Qualcommを一時的に逆転

iPhone 16シリーズに搭載されたAppleのA18チップの影響で、2024年第4四半期における同社のSoCシェアは23%へと急伸した。これは同期間において、Qualcommの21%を上回る数値であり、A18シリーズが持つ処理能力やエネルギー効率の高さが好評を得た結果と見られている。年間を通じてはMediaTekのシェアには届かないものの、この四半期限定ではAppleが二番手に浮上した形だ。

AppleのSoCは自社製品専用であり、他社のように広くOEMに提供していない。そのためシェア自体が製品の売れ行きと直結しているという特徴がある。今回はiPhone 16の投入時期と需要の高さが重なったことが、データ上に明確に反映されていると考えられる。A18シリーズはAI処理能力やグラフィックス性能も強化され、ゲームや動画編集用途での反応の良さがユーザー層に好印象を与えている。

ただし、これは四半期単位での話であり、長期的には限定的な動きと見るべきである。Android搭載端末向けのチップ供給を行うQualcommとはビジネスの構造が異なり、継続的な順位逆転が続くとは言い切れない。とはいえ、Appleがこのタイミングで躍進を果たした事実は、今後の製品選びにも少なからず影響を与えるだろう。

存在感を失うExynos Samsungの選択とその代償

Samsung製のExynosチップセットは、2024年第4四半期の市場シェアでわずか4%にとどまった。過去1年間でも6%を超えることはなく、主要モデルであるGalaxy S25シリーズがExynos 2500を採用せず、Qualcomm製チップへと切り替えたことが影響していると見られる。事実上、ExynosはSamsung自身の端末の一部に限定された採用にとどまっており、他社からの信頼や採用実績が大きく後退している。

もともとExynosは、Samsungが自社内でSoCを内製化する試みとして重要な意味を持っていた。しかし、発熱やバッテリー効率に関する過去の課題、そして性能の安定性に対する不安がユーザーの間で広がり、ブランドイメージの低下を招いた。今回のS25シリーズでの非採用は、そうした懸念に一定の決着がついたと解釈する向きもある。

この状況が続けば、Samsungが今後すべてのフラッグシップモデルをQualcommやMediaTekに委ねる可能性も否定できない。Exynosが再び競争の舞台に戻るには、性能面の飛躍だけでなく、信頼性の回復という長い道のりが求められる。現時点では、それが実現する目処は見えていない。

Source:Android Headlines