2025年3月28日、XRPはわずか1日で70億ドルの時価総額を失い、年初来上昇率は6.90%にとどまった。1月の高値から32.93%下落したものの、コミュニティの88%が依然として強気を維持している。
訴訟取り下げやXRP ETF承認への期待、トランプ政権による規制環境の好転が追い風と見られており、Polymarketでは85%の参加者が年末までのETF承認を予測している。ただし、7月までの承認に関しては期待が後退しつつある。
また、複数の分析者が「運命の日」とする3月28日にはテクニカル指標と周期的要因が重なり、強気反転の可能性が示唆されている。しかし、市場の不安定さと地政学的リスクにより、長期的な見通しには慎重な姿勢が求められる。
XRP急落の背景に見る市場構造と集団心理の交錯

2025年3月28日、XRPは24時間で70億ドルもの時価総額を失い、2.22ドルにまで急落した。これは年初来で6.90%の上昇という緩やかな成長にもかかわらず、1月17日の高値から32.93%下落したことを意味する。しかし、CoinMarketCapの感情分析では88%が強気を維持しており、短期的な価格変動が中長期的な信念を揺るがしていない構図が見て取れる。Coinalyzeによると、弱気ポジションは全体の29%にとどまり、強気姿勢が依然として支配的である。
背景には、XRPが長年争ってきたSECとの訴訟が3月20日に取り下げられたという法的進展がある。また、トランプ政権の誕生により暗号資産への政策的追い風も生まれた。だが、市場がこれらの事実を織り込んでいるとは言い難く、依然として投資家心理が短期的な価格変動に強く反応している様子が浮かび上がる。XRPに対する期待と不安が混在する現在、価格変動だけに着目するのではなく、背後の構造的要因と集団心理の力学を見極める必要がある。
ETF承認と3月28日への期待が映す価格形成の新たな軸
Polymarket上では、XRP ETFが2025年末までに承認される確率を85%とする見方が大勢を占めている。一方で、7月31日までの早期承認についてはその期待が後退しており、直近では35%にまで低下した。こうした予測市場の変動は、コミュニティの希望的観測と現実との間にある緊張を如実に反映している。さらに、2026年までにXRPが過去最高値を更新する確率も40%にとどまり、楽観一辺倒ではない慎重な見方も広がりつつある。
その中で注目を集めたのが、XRP価格の反転点として示唆された3月28日である。TradingViewに投稿された複数のチャート分析では、フラッシュクラッシュから52日、昨年11月のブレイクアウトから144日が経過し、一目均衡表の遅行線が強気シグナルを示すという時系列的な一致が強調された。技術的根拠と心理的節目が重なるこの日には、Reeza87やDrmagicmanらが価格反発を示唆し、上限200ドルという大胆なシナリオも提示されたが、これはあくまで仮定の域を出ない。3月28日が象徴的に語られる背景には、明確な材料不足をテクニカル要素で補おうとする心理が存在するとも考えられる。
トランプ再選と規制緩和が暗号市場にもたらした予期せぬ波紋
2025年1月にドナルド・トランプが再び米国大統領に就任したことで、暗号資産業界には一時的な熱狂が広がった。彼がかつてないほど暗号資産に寛容な姿勢を示していたことから、業界全体が規制の緩和と市場拡大を期待していた。しかし、実際にはSECの姿勢が軟化したとはいえ、市場全体の反応は予想ほど芳しくなかった。XRPの訴訟が終了しても、その恩恵が価格に反映されるまでには時間を要している。
背景には、米国の外交的信用の低下と、貿易戦争再燃の兆しがある。これにより、金融市場全体が不安定となり、暗号資産市場もその影響を免れていない。暗号資産にとっての政治的追い風が、経済的・地政学的な逆風によって相殺される構図が明らかになりつつある。規制緩和が即座に市場の成長につながるとは限らず、XRPにとっては政治と市場のズレが今後の価格形成に影を落とす可能性も否定できない。市場がこの新たな現実に適応するには、さらなる時間が必要とされる。
Source:Finbold