米国株式市場で注目を集めるパランティア・テクノロジーズ(NASDAQ: PLTR)は、2月に過去最高値124.62ドルを記録したが、その後の下落を経て3月末には89.35ドルまで下落。短期的に97ドル台まで回復したものの、再び90ドルを割り込む展開となった。
年初来では18.14%の上昇を維持するが、先行株価収益率(191.68)やアナリストによる平均目標株価(92.13ドル)が示す通り、依然として割高感が強く、今後の上値は限定的との見方が大勢である。
AI関連の注目イベントやチャート上のテクニカル要因により一部では強気の声もあるが、マクロ経済の不透明感や国防予算削減の懸念が重なり、4月中の100ドル到達は極めて不確実との評価が広がっている。
100ドル突破を阻むバリュエーションの壁と市場の慎重姿勢

パランティア株は2024年2月に過去最高値となる124.62ドルを記録したものの、3月には一時76.38ドルまで急落、その後の材料で97ドル台まで戻したが、3月末時点では89.35ドルにとどまっている。特に注目すべきは先行株価収益率(PER)が191.68と、ソフトウェア業界全体の中でも突出して高い水準にある点である。この異常な高バリュエーションが、投資家に対する強い警戒感を招いている。
アナリスト評価も慎重で、TipRanksのデータによれば18人のアナリストのコンセンサスは「ホールド(中立)」であり、12カ月の平均目標株価は92.13ドルにすぎない。これは現在値に対して2.26%の上昇余地しかないことを意味しており、強気派には物足りない数値である。ゴールドマン・サックスのガブリエラ・ボルヘス氏も目標株価を80ドルに据え置いており、現水準から10%超の下落を示唆する内容である。
このような見通しの背景には、S&P500の2月後半以降の下落や、国防予算削減といったマクロ環境の不透明さがある。加えて、PLTR株の空売り比率が高止まりしている点も、市場参加者の警戒感を裏付けている。株価の節目である100ドルの突破には、企業の成長ストーリーを上回る説得力と、外部環境の追い風が不可欠といえる。
技術要因と顧客拡大による反転期待も限定的
3月25日にかけてパランティア株は急伸し、一時97ドルまで回復した背景には、新たな顧客発表や国防関連契約にまつわる材料があった。加えて、3月中旬のAIPon(AIプラットフォームカンファレンス)では複数の有力企業との協業が明らかにされ、市場には一定のポジティブサプライズが生じた。こうしたイベントを受け、一部では短期的な上昇トレンドへの転換を見込む声も上がった。
テクニカル面でも、著名な分析家であるTradingShot氏は、PLTRが「チャンネルアップパターン」を形成していると指摘し、過去の類似局面では100日移動平均線を起点に上昇波が生じていたことを強調している。今回も類似の動きが繰り返されれば、200ドル近くまでの上昇も期待できるとの主張もある。しかし、こうしたシナリオは過去のチャートパターンが再現されるという前提に依存しており、現実的な確度は高くない。
また、顧客基盤の拡大や収益源の多様化が進んでいる点は中長期的に評価されるべきだが、短期的な株価を支える材料としては限定的である。特に、国防総省予算の削減が議論される中で、国防関連売上に依存する構造は依然としてリスク要因として残る。目先の反発材料はあれど、100ドル突破に必要な力強さには至っていないとの判断が妥当であろう。
Source:Finbold