中国のAI企業DeepSeekは、2024年12月に発表されたV3モデルの改良版「DeepSeek-V3-0324」を3か月で公開した。6850億のパラメータを備える本モデルは、非推論型アーキテクチャを採用し、MITライセンスのもとで利用可能となっている。

AIベンチマークでは前バージョン比で最大19.8%スコアを向上させ、GPT-4.5やClaude Sonnet 3.7と並ぶ性能を示した。ウェブ開発や中国語処理能力も強化され、魅力的なUI生成や翻訳機能に優れる点が特徴である。

実行には複数のNvidia A100またはH100 GPUが必要とされる一方、蒸留版は一般的なGPUでも動作可能。高性能かつ軽量な設計が評価されており、競合環境での存在感を高めている。

最大級の6850億パラメータとMITライセンスが示す戦略的公開意図

DeepSeekが発表した「V3-0324」は、公開LLMとしては最大級となる6850億パラメータを備え、MITライセンスの下で無償提供されている。MITライセンスは商用利用を含む自由度の高い形式であり、この選択によって同社は開発者コミュニティの支持を得つつ、競合他社に対する影響力を広げようとしていることが読み取れる。これにより、研究用途やベンチャー企業による導入が促進されることは確実である。

また、同モデルは従来のV3よりも最大19.8%の性能向上を達成しており、そのスコアはGPT-4.5やClaude Sonnet 3.7と同等に位置づけられている。特筆すべきは、推論よりも高速な応答を重視した「非推論型」の設計であり、思考の深さよりも応答の即時性を求めるユースケースに最適化されているという点である。これは、チャットボットやリアルタイム支援ツールとの親和性が高い構造であるといえる。

MITライセンスでの提供と超大規模なパラメータ数の両立は、従来の商用LLMモデルとは一線を画す戦略的構図を形作る。技術力の誇示だけではなく、開放性と市場拡張の両立を狙った動きと捉えることができる。

ベンチマーク性能と中国語特化機能の進化が意味するもの

DeepSeek-V3-0324は、複数のAIベンチマークで前バージョンを上回る数値を記録し、その向上率は5.3%から19.8%に及んだ。これは単なる数値上の改善にとどまらず、同社が短期間で技術成熟度を急速に高めたことを示している。とりわけ、GPT-4.5級の性能と並べて語られる点は、競合プレイヤーと肩を並べる存在となったことを意味する。

注目されるのは、中国語処理機能に関する顕著な強化である。検索、執筆、翻訳といった多様なタスクにおいて、より自然かつ洗練された表現が可能となった点は、同地域におけるAI導入の加速を促す要因となり得る。特に、政府文書や教育資料、オンラインサービスへの応用が想定される中で、母語環境に最適化された言語モデルの優位性は計り知れない。

こうした言語面のチューニングは、グローバル市場とは異なる文化的・政治的文脈を持つ中国市場において、DeepSeekのAIが現地ニーズに合致する強力な技術資産であることを裏付けるものと考えられる。性能と地域特化戦略を同時に強化した構成は、国産AI技術の自立を志向する現在の中国の動向とも連動している。

Source:NotebookCheck