インテルは、CES 2025で発表されたArrow Lake世代のノートPC向け新型プロセッサ「Core Ultra 200H・HXシリーズ」を正式に公開した。注目は、従来より最大40%向上した電力効率と、Counter Strike 2において前世代比108%のゲーミング性能を示すCore Ultra 9 275HXのパフォーマンスである。
また、インテルは新たにゲーム内AI支援のための開発者向けSDKを発表し、NPU(ニューラル・プロセッシング・ユニット)の活用を本格化。NVIDIAのG-Assistに似たコンセプトながら、NPU単体で処理を完結させることで、より高効率なアシスタンスが可能になるとしている。
Arrow Lakeの実力は本物か 電力効率と性能向上の実数値に注目

Core Ultra 200H・HXシリーズは、最大で40%の電力効率改善と、マルチスレッド性能で19%、シングルスレッドでも10%の処理能力向上を謳っている。特にCore Ultra 9 275HXにおいては、Counter Strike 2のベンチマークで、前世代のCore i9-14900HXと比較して108%の性能を示すという具体的な数値が公表された。動作電力は125Wで固定されており、実行環境の条件も明記されている点から、比較としての信頼性は高い。
また、これらの改善は単なるコア数の増加によるものではなく、内部アーキテクチャの刷新や、タスクごとの処理分担の最適化に起因していると見られる。特に高負荷時の安定性や熱制御において、ノートPCでもデスクトップ並みの性能を引き出せるよう設計されている可能性がある。これにより、ゲーミングノートやハイエンドモバイルワークステーションにおいて、バッテリー駆動時でも高いパフォーマンスを維持しやすくなったと推測される。
従来のHXシリーズは電力消費と発熱の課題を抱えていたが、今回のアップデートはそうした弱点を大きくカバーしている点が印象的だ。今後、同CPUを搭載した機種がどのような冷却機構と組み合わせられるかにも注目が集まる。
ゲームにおけるAI活用の進化 インテル独自のNPU戦略とは
今回の発表で特に目を引いたのが、Arrow Lakeに搭載されたNPUを活用したゲーム内アシスタント技術である。インテルは「AI Game Assistant SDK」を開発中であり、これにより開発者はNPUを使って、ゲームプレイ中のリアルタイムな質問応答やアドバイス提供機能を実装できるようになるという。例えば、ボスの攻略法をテキストや音声で問い合わせることで、その場で適切な戦略が提示されるという使い方が想定されている。
このアシスタントはNVIDIAの「Project G-Assist」と類似の機能を持つが、インテルはNPU単体で処理を完結させることで、システム全体の負荷を抑えつつ応答速度の最適化を狙っている。これにより、GPUやCPUのリソースをゲーム本体の描画や演算に集中させることが可能となり、より快適なプレイ体験につながると期待されている。
ゲーム内でのAIアシスタンスはまだ発展途上の分野であり、その完成度や実装の自由度は製品ごとに大きく異なる可能性がある。ただし、ローカル実行可能なAI支援という方向性は、クラウド依存の課題を回避する一手ともなり得る。インテルがハードウェアとソフトウェアの両面からこの技術を押し進める姿勢は、AI時代のPC設計における一つの分水嶺を示している。
Source:VideoCardz.com