NvidiaのRTX 5070 TiとAMDのRX 9070 XTが、1440pゲームを主戦場に次世代GPU市場で真っ向からぶつかっている。性能面では5070 Tiが平均約15%上回り、『Cyberpunk 2077』では約36%の大差を記録。一方で9070 XTは599ドルという価格設定で、ハイエンド帯の中でも高いコストパフォーマンスを打ち出す。

両者とも16GBメモリを搭載しつつ、NvidiaはGDDR7で896GB/sの帯域を誇り、DLSS 4や280基のAIアクセラレータによる高精度な描画処理も武器にする。RX 9070 XTも最大2.97GHzのクロックで応戦するが、GDDR6による帯域差やRT性能では分が悪いとの見方もある。

RTX 5070 Tiは性能面で優位 DLSS 4とGDDR7が生む圧倒的な描画力

NvidiaのRTX 5070 Tiは、8960基のCUDAコア、70基のレイトレーシングコア、そして280基のAIアクセラレータを備えたBlackwellアーキテクチャ搭載のグラフィックスカードである。ベンチマークではRX 9070 XTに対し平均約14.9%のフレームレート上昇を記録し、『Cyberpunk 2077』では最大36%もの差をつけた。DLSS 4のマルチフレーム生成機能は、ゲーム内の動きをAIで補間することで負荷を抑えつつ高品質な映像を描き出し、特に4K解像度環境で真価を発揮する。さらにメモリには次世代のGDDR7を採用しており、896GB/sという帯域幅はRX 9070 XTのGDDR6(約512GB/s)を大きく上回っている。

スペックと実動作の両面から見ても、5070 Tiは現行世代の中でも高いパフォーマンスを安定して提供できるGPUといえる。処理の高速化だけでなく、映像表現の滑らかさや奥行きにも影響を与えるDLSS 4は、レイトレーシングや高リフレッシュレートが求められる場面での決定的な強みとなる。ただし価格は749ドルと高く、性能と価格のバランスをどう見るかが選択の鍵になる。

RX 9070 XTは価格が武器 フラッグシップでありながらコストパフォーマンスに優れる設計

AMDのRadeon RX 9070 XTは、現時点で同社が投入するRDNA 4世代の最上位モデルとして位置づけられている。4096基のシェーディングユニット、64のRTアクセラレータ、そして16GBのGDDR6メモリを搭載しながらも、販売価格は599ドルに抑えられている。同価格帯でここまでの性能を持つGPUは他に見当たらず、コストを抑えながら高画質な1440pゲーム体験を求めるユーザーにとって魅力的な選択肢となる。ブーストクロックも最大2.97GHzと非常に高く、スペック上のピークAI性能は1,557TOPSと、5070 Tiの1,406TOPSをわずかに上回る。

ただしGDDR6の採用によりメモリ帯域は512GB/sにとどまり、RTX 5070 Tiの896GB/sと比べてデータ転送量に制限が出る可能性がある。また、レイトレーシング性能やAI処理においてはNvidiaに一歩譲る場面が多く、最新技術に対する対応力でやや見劣りする側面もある。それでも、599ドルという価格を踏まえれば十分以上の性能を持っており、コストを最優先するならば選択肢として外せない存在である。

平均性能差は約15% だが用途と環境によって最適な選択は変わる

両GPUのベンチマークを比較すると、RTX 5070 TiがRX 9070 XTに対して1440p解像度で平均約14.92%のフレームレート差を見せている。この差はゲームタイトルによってばらつきがあり、『Forza Horizon 5』ではAMDが上回る一方、『Kingdom Come Deliverance 2』ではNvidiaが大差をつけている。特にレイトレーシングを有効にした『Cyberpunk 2077』のような負荷の大きいゲームでは、5070 Tiが約36%高いフレームレートを記録しており、DLSS 4とRT性能の恩恵が如実に表れている。

一方、描画設定を中程度に抑えたり、高フレームレートを重視しないプレイスタイルであれば、RX 9070 XTでも十分な体験が得られる。また、GDDR7の高帯域やDLSS 4の有無が重要となるのは4Kやレイトレーシングを多用するタイトルに限られ、そうでないケースでは性能差が体感しにくい可能性もある。価格と用途、使用環境を総合的に見極めることで、それぞれのGPUが持つ本当の価値が見えてくる。

Source:Sportskeeda