2025年初頭、S&P500が調整局面に入り、ナスダックとラッセル2000も10%超の下落が続く中、市場は再び不安定さを増している。こうした局面で、ウォーレン・バフェットは投資家に「冷静であること」の重要性を説く。
彼は過去の数々の下落を経験してきたが、一貫して長期的な視点と感情に流されない判断を強調してきた。市場の調整は例外ではなくむしろ周期的なものであり、1980年以降、平均1.2年に一度は10%超の下落が起きている。
株価下落時に優良株やETFを買い続ける姿勢が、将来のリターンを生むとする考え方は、短期的な市場変動に揺れやすい今こそ再認識すべき教訓である。
市場調整の頻度と過去データが示す規則性

1980年以降、S&P500は平均して1.2年に一度、直近の高値から10%以上の下落を記録している。2020年には5回、2022年には4回の調整局面が発生し、2023年には1回のみと比較的安定していた。しかし、2025年第1四半期に入り、不確実性が再燃しており、S&P500は直近高値から約9%下落、ナスダック総合指数とラッセル2000は依然として10%を超える下げ幅を記録している。
この事実は、今回の下落が歴史的に見て例外的ではなく、むしろ想定の範囲内であることを示す。過去のデータに照らせば、こうした調整は市場のリズムの一部であり、異常事態ではない。むしろ、2023年後半からの安定が投資家の心理的耐性を低下させた可能性すらある。
市場の調整を「異変」として捉えるのではなく、繰り返し起こるサイクルとして理解することが、短期的な混乱の中でも冷静さを保つ鍵となる。定量的な事実の積み重ねが、感情ではなく論理に基づく判断を促す。
ウォーレン・バフェットが説く「冷静さ」とは何か
バークシャー・ハサウェイのCEOウォーレン・バフェットは、2017年の株主宛の手紙でラドヤード・キップリングの詩を引用し、混乱の中で動じない精神の重要性を説いた。「まわりが取り乱す中で冷静でいられるなら……」という詩の一節は、単なる美辞麗句ではなく、彼の投資哲学の中核をなす指針である。
バフェットは、市場の急落が起きた際に最も避けるべきは「感情に任せた売却」であると繰り返し警鐘を鳴らしてきた。2008年の金融危機、2020年のコロナ・ショックにおいても、多くの個人投資家がパニックに陥り、長期的なリターンを取り逃がしている。市場の底は予見できず、常に後からしか分からない。
バフェットの言葉は、現在のように先行きの見えない局面において、「いかに動かずにいられるか」が真の力量であることを示している。冷静さとは感情を抑えることではなく、合理的な判断を可能にする内なる枠組みそのものである。
バークシャー株と「買い場」の認識に対する注意
バークシャー・ハサウェイの株を今買うべきかという問いに対し、モトリーフールのStock Advisorアナリストは明確な線引きをしている。2025年3月時点で彼らが選出した「今買うべき10銘柄」にバークシャー株は含まれていない。これは、同社の魅力が消えたわけではなく、他により高い成長が見込まれる銘柄が存在すると判断されているからに過ぎない。
過去にはNetflixやNVIDIAといった銘柄を早期に選出し、1000ドルの投資が数十万ドルにまで成長した事例がある。Stock Advisorの平均リターンは815%と、S&P500の162%を大きく上回る。こうした実績を背景に、成長期待が高まる企業に資本を振り向ける選択肢も存在する。
市場全体が調整局面にある今は、あらゆる銘柄が「割安」に見えるが、真に価値ある投資先を見極めるには、単なるブランド力ではなく今後の収益成長力への洞察が欠かせない。バフェットの手法を参考にしつつも、自らの判断軸を持つ必要がある。
Source:The Motley Fool