Nvidiaの最新ノートPC向けGPU「RTX 5090」が、Razer Blade 16(2025年モデル)に搭載されて登場し、各メディアによるベンチマーク結果が明らかになった。RTX 4090比では11%の性能向上に留まるが、RTX 3080 Tiと比較すると最大40%の大幅な改善が見られ、特に『Cyberpunk 2077』や『Alan Wake 2』ではFPSの増加も確認されている。
注目すべきは、フレーム生成を最大300%向上させるというマルチフレーム生成技術や、AI最適化されたTensorコアの搭載など、次世代に向けた機能群。AMDのRyzen AI 9 HX 370との組み合わせにより一部タイトルでCPUがボトルネックになる可能性も指摘されているが、240Hz・1600pディスプレイとの連携によって競技ゲームにも好相性を示す構成となっている。
RTX 5090がもたらす実性能の進化とその限界

RTX 5090ノートPC向けGPUは、RTX 3080 Tiに対して最大40%のパフォーマンス向上を記録し、ゲーミング体験に明確な進化をもたらしている。NotebookcheckやPCMagなど複数メディアによるRazer Blade 16(2025年モデル)でのテストでは、Cyberpunk 2077やAlan Wake 2といった重量級タイトルにおいて、RTX 4090比で約10FPSの増加が報告されており、確かな前進が確認できる。ただし、RTX 4090からの上昇幅はおよそ11%にとどまり、ハイエンドモデル同士での差は控えめという印象だ。
一方で、0.7インチという極薄シャーシを採用するBlade 16では、熱処理能力に制限があることも明らかになっている。フルスペックのRTX 5090を搭載しながらも、排熱の限界により性能が抑えられる場面がある点は注意が必要である。このような熱的制約は、今後の冷却技術や筐体設計の進化によって解消される可能性があるが、現時点では潜在能力を完全には引き出せていない。ハードウェア構成そのものの進化と、設計面のバランスが問われるフェーズに差し掛かっているといえる。
MFGとAI強化で変わるゲーム体験 フレーム数だけでは測れない新基準
RTX 5090に新たに搭載された「マルチフレーム生成(MFG)」技術は、見た目のフレームレートを最大300%向上させる可能性があるとされ、従来のベンチマーク指標とは異なる軸でのパフォーマンス評価を促している。実際のFPSに依存する入力遅延の課題は残るものの、プレイ中に「滑らかに感じる」映像体験が飛躍的に高まる設計となっている点は見逃せない。これにより、単純な数値比較では測れない没入感が実現される可能性がある。
さらに、AI強化されたTensorコアの搭載によって、リアルタイムレンダリングやアップスケーリング機能の品質も向上している。RTX 5090は、AMDのRyzen AI 9 HX 370とペアリングされており、AI処理とグラフィック性能を融合させる構成を狙っている。しかし、一部のゲームタイトルではCPUがボトルネックとなる懸念も報告されており、すべての状況で均等に性能を引き出せるとは限らない。高性能を謳うスペックであっても、バランス設計の重要性は依然として課題として残されている。
買い替えの判断はGPU世代差だけでは決まらない
RTX 5090は、RTX 3080 Ti搭載ノートからの移行においては大幅な性能向上が期待できるが、RTX 4090ユーザーにとっては、11%という伸び率に加え、価格や排熱性能とのトレードオフを考慮する必要がある。ベンチマーク上の差以上に、体感性能や新機能の恩恵を重視するかどうかが選択の鍵となる。とりわけ、MFGやAI処理といったソフトウェア面の強化に価値を見出すかどうかは、使用スタイルやプレイするタイトルによっても変わるだろう。
一方で、Blade 16のような極薄筐体に約4,400ドルという価格設定を受け入れられるかどうかも判断材料の一つになる。高リフレッシュレートの240Hz・1600pディスプレイと最新GPUの組み合わせは確かに魅力的だが、その真価を発揮するには冷却性能や電力供給の安定性といった周辺要素の成熟が不可欠である。今後、他社製モデルがどのようなアプローチでRTX 5090を実装してくるかにより、このGPUの評価はさらに変化する可能性がある。
Source:TechStory