AppleがiPhoneの衛星通信機能を拡張すべく進めているGlobalstarとの提携に対し、Elon Musk率いるSpaceXが強く反発している。Starlinkとの競合を警戒したSpaceXは、Apple支援による新たな通信衛星ネットワークの周波数利用申請に異議を申し立て、米連邦通信委員会(FCC)に介入を要請したという。

この背景には、限られたスペクトラム資源をめぐる競争の激化がある。Appleは2024年に10億ドル超をGlobalstarに投資し、ネットワーク拡充を推進しているが、それがStarlinkの周波数確保やコスト面に直接影響を与える可能性がある。

両社はかつて協業を協議した過去もあるが、交渉は難航し、正式な合意には至っていない。現在も関係は冷却と協調の狭間で揺れ動いており、通信業界の勢力図に新たな緊張をもたらしている。

衛星通信の覇権を巡るAppleとSpaceXの摩擦

AppleはiPhone向けの緊急SOSや道路支援機能といった衛星通信サービスの提供を拡充すべく、Globalstarと連携し、2024年には10億ドル超を投資した。これにより、GlobalstarはAppleの支援で新たな衛星ネットワークの構築を進めており、スペクトラムの追加申請も行っている。

これに対し、Elon MuskのSpaceXは、自社のStarlinkプロジェクトと競合するとの理由から、連邦通信委員会(FCC)に対してApple側の申請却下を求める措置に出た。通信においてスペクトラムは最も貴重な資源のひとつであり、衛星事業者間での奪い合いが激化している。

SpaceXとしては、AppleとGlobalstarによるネットワーク拡張が進めば、自社の周波数確保が困難になるだけでなく、今後の事業計画全体に影響を及ぼすとの懸念がある。現に、周波数の競合が進むほど取得コストは上昇し、ビジネスモデルの採算性にも影響を及ぼしかねない。

こうした中でAppleとT-Mobileは、SpaceXのStarlinkを利用した提携案を模索していたが、協議は緊張を伴うものであったという。過去にはAppleとSpaceXの幹部間でiPhoneをStarlinkに接続する議論も行われたが、最終的な合意には至っていない。衛星通信を巡る主導権争いは、今後のグローバル通信インフラ構造を左右する分岐点に差し掛かっている。

技術協議の迷走と潜在的な利害調整の難しさ

AppleとSpaceXの間には、過去に何度か協業の可能性が浮上した経緯がある。とりわけ、T-Mobileのネットワーク拡張を巡る議論では、三社が同席しながらも交渉は緊迫した雰囲気のもとで進められ、合意形成に時間を要した。これは、単なる商業上の連携を超えた、周波数管理や投資資源の配分を巡る思惑の食い違いを浮き彫りにした事例である。

衛星通信は、その構造上、複数のプレイヤーが同時に全世界をカバーすることが難しい。特に周波数帯域の限界がある以上、1社の拡大が他社の展開を直接的に制限する構図が生まれやすい。SpaceXがAppleと距離を置く理由の一端には、この物理的制約に対する危機感が根底にあると見られる。

加えて、Appleは過去にEchoStarやBoeingとも接触していたとされ、SpaceXとしては、将来的に自社の影響力が削がれるとの不安も存在している。一方で、Globalstarの衛星をSpaceXが打ち上げるという契約も存在しており、両社の関係は完全な対立構造ではない。

技術連携と市場競争が交錯する複雑な関係性のなかで、今後も協議の継続と緊張の両面が併存する状態が続くことが想定される。競争が激化することで、通信品質やグローバルサービスの充実に繋がる可能性がある一方で、調整の失敗は市場の断片化や進展の遅延というリスクを内包している。

Source:AppleInsider