Appleが2019年に発売した5,000ドル超のPro Display XDRに続く新型モニターの開発を進めていることが明らかとなった。Bloombergや9to5Macなど複数の情報によれば、次世代機にはApple Siliconチップが搭載され、接続機器に依存しない独立設計が特徴となる見込みだ。

ディスプレイ技術面では、最新のMacBook Proに導入された量子ドットフィルムを応用する動きも報じられており、7K解像度や高リフレッシュレートも期待されている。発売は早くても2025年後半とされ、同社にとっての優先度は高くないとの見方も出ている。

Pro Display XDRの後継だけでなく、Studio Displayの上位機種「Studio Display Pro」の存在も示唆されており、複数モデル同時開発の可能性が高い。

Apple Silicon搭載で実現する次世代モニターの自立性と機能強化

Appleが開発中とされる新型ハイエンドディスプレイは、Studio Display同様にApple Siliconチップの搭載が見込まれている。2019年のPro Display XDRには同チップは搭載されておらず、表示以外の処理を接続元のMacに依存していた。しかし、Studio DisplayではA13 Bionicチップの搭載により、Center Stageや空間オーディオといった高度な機能をモニター単体で実現している。

次世代機も同様の構成を採用すれば、カメラやスピーカーの内蔵、OS機能の一部担保といった方向性も見込める。加えて、リモートワークやコンテンツ制作環境において、処理の一部をモニター側で完結できる構成は安定性と拡張性の観点で有利に働く可能性がある。Appleがこの方向性を採る背景には、モジュール的な製品設計における自社シリコンの強みを最大限に生かす狙いがあると見られる。

加えて、Studio Displayの発売以降、周辺機器へのApple Silicon導入が進んでいることから、ディスプレイに限らず同社のエコシステムがより一層高度化していく転換点とも捉えられる。

量子ドットと7K解像度が示唆するプロフェッショナル向け映像表現の進化

ディスプレイアナリストRoss Youngの報告によれば、次世代Pro Display XDRには量子ドットフィルムの採用が検討されている。これは既に新型M4 MacBook Proにも搭載されている技術であり、従来のKSFフィルムと比べて色域表現の幅と明度の均一性に優れる。

現行XDRではIPSパネルとローカルディミングが用いられているが、これに量子ドットを組み合わせることで、HDR映像やカラーグレーディング用途における再現性が飛躍的に向上すると予想される。加えて、Appleが7K解像度の開発を進めているとの報道もあり、これは映像編集や医療画像など、高精度の表示が求められる領域において競争力を持つ仕様となる。

解像度の向上は処理負荷の増大を伴うため、Apple Siliconによる描画制御が不可欠となる点も特筆すべきである。Pro Display XDRは5,000ドルという価格帯ゆえに用途が限定されてきたが、技術的進化によってその適用範囲が一部のクリエイティブ業界から、高精細データを扱う多分野へと広がる可能性も否定できない。

優先度の低下と27インチモデルの台頭が示す戦略的転換

Mark Gurmanの報告によれば、AppleにとってPro Display XDRの後継モデルは「優先度が高くない」とされている。背景には、5,000ドルという高価格帯の製品が一般消費者層には訴求しづらく、同社が展開する他の高額製品、たとえばVision Proと同様に市場での浸透に苦戦している現状がある。

一方、Studio Displayの上位機種とされる「Studio Display Pro」の存在が浮上しており、27インチクラスで量産可能な技術を搭載したモデルが先行投入される可能性が示唆されている。これは、高精細表示と利便性を両立しつつ価格を一定水準に抑えられる中間層向け製品の強化という戦略的判断と捉えることができる。

Pro Display XDRの後継機は、Appleの技術力を象徴するフラッグシップ製品としての位置づけを維持しつつも、当面は象徴的存在に留まり、実際の売上構成や事業戦略においてはStudio Display系統が主軸となる構図が形成されつつあるように見える。

Source:9to5Mac