Appleが次世代のApple Watchに全面ガラス筐体を採用する可能性が浮上している。中国のInstant Digitalが伝えた情報によれば、デジタルクラウンとサイドボタンを除く全体をガラスで覆い、ディスプレイは縁まで回り込む仕様となる見込みだ。
これは従来のジルコニアセラミック背面からの大幅な転換を意味し、耐久性への疑問も上がるが、Appleが展開するCeramic Shield技術の応用によって課題解決が図られる可能性もある。Appleはこの新たな設計を、まず小型デバイスであるWatchに適用し、耐久性・生産性・コスト面を検証する狙いを持つと見られている。
成功すれば2026年以降のSeries 11やUltraモデルで登場し、将来的にはオールガラスiPhoneへの布石となる見通しだ。これは見た目の刷新にとどまらず、製造プロセスの単純化や再利用性の向上という環境面にも波及する可能性がある。
Apple Watchに先行投入される全面ガラス筐体の構造と目的

Instant Digitalが報じたところによれば、AppleはApple Watchにおいて、デジタルクラウンとサイドボタンを除いた全体をガラスで構成する設計を試みている。ディスプレイは縁にまで回り込む仕様で、視覚的な没入感を高めるとともに、情報閲覧の直感性が格段に向上する見込みだ。
この設計変更は、Appleが従来から試みてきた「一体型」デバイスへの一歩であり、2016年のiPhone 8の噂や、iPhone 4のガラス背面設計の延長線上に位置付けられる。Apple Watchは現在、ジルコニアセラミック製の背面を備え、耐久性と軽量性の両立が評価されてきた。
これを全面ガラスに移行するという選択には、当然ながら落下時の破損リスクという課題が伴う。しかしAppleは、iPhoneに搭載しているCeramic Shieldやラミネート処理などのガラス強化技術を蓄積しており、それらを活かすことで美観と堅牢性のバランスを取ることが期待されている。
さらにApple Watchはサイズが小さく、設計の自由度が高いため、新素材導入や構造的な実験に適している。Appleはこのガラス筐体をまずWatchで試験的に導入し、耐久性、製造コスト、ユーザーの反応といった複数の要素を精査する意図を持っている可能性がある。これは単なる意匠の刷新ではなく、製品開発全体の指針となる一手である。
iPhoneへの波及と全方位ガラス設計がもたらす技術的転換
Apple Watchでの成果が認められた場合、Appleは同様のガラス構造をiPhoneに拡張する可能性があるとされる。特許資料には、側面までタッチパネルを延伸したラップアラウンド型ディスプレイの構想が既に存在し、これにより本体側面で音量調整やアプリの操作が可能となる未来が描かれている。
このような設計は、Jony Iveがかつて提唱した「彫刻のようなデバイス」に近づく試みと重なる。とはいえ現行のiPhoneでは、2025年のiPhone 17シリーズにおいてもアルミフレームや部分的なガラスバックにとどまると噂されており、全面ガラス化には依然として技術的・コスト的課題が残る。
特にスマートフォンは落下や衝撃のリスクが高いため、Apple Watchと同様の構造を拡張するには一層の耐久性向上が不可欠となる。加えて、より大型のディスプレイによって電力消費が増す可能性もあり、バッテリー効率の最適化が求められるだろう。
しかしこの構造変更は、単に見た目の革新にとどまらない。素材が単一化されることで製造プロセスは合理化され、再利用やリサイクルにも有利に働く。Appleが掲げるサステナビリティ戦略においても、この構想は重要な位置を占める可能性がある。Apple Watchに端を発したこの動きは、iPhoneを含む主要製品群の設計思想を根底から変えるきっかけとなるかもしれない。
Source:Apple Magazine