投資スタイルの対極に位置するキャシー・ウッドとウォーレン・バフェットが、共通して保有する銘柄がアマゾンである点に注目が集まっている。2025年3月時点で年初来6%下落したアマゾン株は、ナスダック全体の調整局面と並行して動いているが、同社の実態はその外観とは異なる。

クラウド部門AWSは前年比18%増収、営業利益は62%増と堅調であり、AI需要の高まりを追い風に利益率の高い成長を遂げている。さらに、倉庫の自動化や独自半導体の開発といった長期戦略が、Eコマースからクラウドまで事業全体に波及する構図が明らかになっている。

将来予想PERは過去3年で見ても割安水準にあり、投資家心理が揺れる今こそ、長期的視野での再評価が求められる局面と言える。


AWSが牽引するアマゾンの収益構造とAIによる高利益率の進化

アマゾンの業績は、株価下落という表面的な印象とは裏腹に、根幹部分で力強い成長を維持している。中でもAWS(Amazon Web Services)の存在感は際立っており、2024年の売上高は前年比18%増の1,070億ドル、営業利益は実に62%も増加した。これは、クラウドサービスへの需要拡大とAI分野の成長によるものであり、特に生成系AIの普及がインフラ利用の加速を後押しした結果である。

AWSはアマゾンにとって最も利益率の高い部門であり、同社のフリーキャッシュフローの拡大にも直結している。現金創出力の強化は、リスク耐性を高めるだけでなく、新たな技術領域への継続的な投資を可能にする。この動きは、単なる収益源の拡大にとどまらず、同社の事業構造全体の効率性や競争力に影響を与える中核戦略と位置づけられる。

AIを支えるクラウド基盤において、アマゾンは米Nvidiaなどとの競争環境下で自社製チップの開発にも注力している点が注目される。垂直統合によるコスト削減や性能最適化の追求は、長期的には外部依存の軽減と収益性の更なる改善につながる可能性がある。テクノロジー株全体が揺れる中にあって、こうした基盤的な事業の着実な拡大がアマゾンの本質的価値を支えている。

長期投資家の視点から見るアマゾン株の割安性と市場の錯覚

2025年3月26日時点で、アマゾン株は年初来6%下落しており、ナスダック総合指数の動きに連動する形で調整を余儀なくされている。だが、この価格変動がアマゾン固有の経営リスクや業績悪化を示しているわけではない。背景には、インフレ再燃や関税負担、FRBパウエル議長の発言による金利動向への不透明感など、外部環境による投資家心理の冷え込みが大きく影響している。

実際には、アマゾンは堅調な成長を続けており、特にクラウドや物流の自動化分野で高い競争力を維持している。PER(株価収益率)で見れば、将来予想PERは31.7倍と過去3年間で比較的割安な水準に位置し、同業他社と比較しても過大評価されているとは言い難い。こうした点から、短期的な価格変動が長期的な企業価値を適切に反映していない状況が浮き彫りとなる。

キャシー・ウッドとウォーレン・バフェットという異なる投資哲学を持つ人物が共にアマゾン株を保有している事実も、同社の事業の多面性と安定性を示す一つの材料である。高成長領域に賭けるウッドと、堅実なキャッシュフローを重視するバフェットの両者に選ばれている点は、アマゾンの構造的強さを裏づける要素と捉えるべきである。目先の下落局面に捉われすぎることなく、長期の視座で見直す余地は大きい。

Source:The Motley Fool