MicrosoftはBetaチャンネル向けに配信したWindows 11 Build 22635.5160(KB5053654)において、視覚障がい者支援機能「ナレーター」の利便性を大幅に強化した。「音声リキャップ」機能が新たに搭載され、直近500件の発話履歴の参照とコピーが可能となる。これは教育現場や専門職の現場での活用も見込まれている。

また、Copilotの利便性向上も図られており、「Win + C」や「Alt + スペースバー」の長押しで音声会話を開始できる新機能が加わった。対応バージョン以降では、物理キーを利用したハンズフリー操作も視野に入る。

さらに、画像編集機能の共有ウィンドウ統合やスタートメニュー不具合の修正、設定画面へのFAQ追加など、多岐にわたる調整が行われている点も見逃せない。

ナレーターに「音声リキャップ」導入 視覚支援機能の質的転換

Build 22635.5160で導入された「音声リキャップ」機能は、Windows 11のアクセシビリティ機能における重要な進化と位置付けられる。

ナレーターが発した音声内容の最大500件の履歴が確認可能となり、ナレーターキー + Alt + Xで呼び出し、Ctrl + Xで再読、Ctrl + ナレーターキー + Xでコピーという一連の操作が実現されている。特にリアルタイムの音声を文字情報として記録し、即座に利用できる設計は、教育、研究、サポート業務といった専門的な場面でも高い有用性を持つ。

Microsoftはこの機能が、TVI(視覚障がい者支援教師)や聴覚障がいを伴う職種においても効果を発揮すると述べており、単なる補助機能ではなく、作業精度の向上や情報伝達の補完を狙う姿勢がうかがえる。ナレーター利用者にとって、これまで一過性であった読み上げ情報が保存・再活用可能となることは、日常の業務設計そのものに変化を促すものといえる。

一方で、発話履歴がセッション単位でしか保持されない点は、長時間利用者にとっては限定的である可能性もある。将来的にはログ保存や検索機能の実装が求められる余地もあるが、現段階では操作性と簡便性のバランスを重視した構成といえる。

Copilotに音声操作機能が追加 AIアシスタントの即応性が加速

本ビルドでは、Copilotにおける音声インターフェースの強化が進められた。Win + CやCopilotキーの長押しで会話が開始され、Escキーまたは一定時間の無音で終了する設計となっている。またAlt + スペースバーでの代替起動にも対応し、キーボード操作との連動性が高まっている。対象となるCopilotアプリはバージョン1.25033.139.0以降であり、発話開始のトリガーをデバイスキーに連動させることも可能となった。

本機能の追加により、タスク切替やリマインダー登録、文書作成など、音声による即時指示が可能となる環境が整備されつつある。業務中のマルチタスク処理においては、操作時間の短縮や集中力の維持に貢献する場面も見込まれる。特に、静的な対話ではなく即時的な音声処理に対応することで、AIとの連携がより自然な流れに進化した点は注目される。

ただし、現段階ではMicrosoft 365 Copilotアプリには未対応であるため、エンタープライズ環境における実用性には今後の展開が影響する。音声認識の精度や誤動作防止策の信頼性についても慎重な運用が求められるが、AI活用の選択肢が増えた点は確かな前進である。

Source:Neowin