英Arm Holdingsは、現在約15%とされるデータセンター向けCPU市場のシェアを、2025年末までに50%にまで引き上げる戦略を明らかにした。電力効率の優位性を武器に、IntelやAMDといった既存勢力に対抗する構えである。

同社は第3四半期の売上が前年同期比19%増の9億8,300万ドルとなり、アナリスト予想を上回った。第4四半期も最大12億7,500万ドルの売上を見込んでおり、市場期待を大きく超える見通しだ。

AI活用が進む中で高まる電力消費への対応として、Armの省電力設計がクラウド業界で支持を広げている。一方で、株価は12か月で20%下落し、NvidiaやQualcommらとの競合激化が注目される局面にある。

省電力技術が後押しするArmの躍進計画とその現状

Arm Holdingsは、データセンター向けCPU市場において2025年末までに50%のシェア獲得を目指すという極めて野心的な方針を掲げている。

現在の市場占有率は約15%にとどまるが、Armのインフラ部門責任者であるモハメド・アワド氏は、同社の設計による低消費電力性がIntelやAMDに対する差別化要因になると指摘する。実際、AIを活用するクラウドデータセンターが増える中、電力効率は選定の重要な判断材料となりつつあり、Armベースのチップに対する需要は着実に広がっている。

業績面でもその勢いは数字に現れている。Armの2024年第3四半期決算では、売上高が前年同期比19%増の9億8,300万ドルに達し、アナリスト予想を上回った。さらに第4四半期には最大12億7,500万ドルの売上を見込んでおり、これは市場予想を大幅に上回る水準である。

加えて、ロイヤリティ収入の増加もArmの収益力を下支えしている。Armの設計をベースとしたチップの割合が増えることで、知的財産使用料が高率で設定できる構造にあるからだ。

このような実績と成長戦略により、同社はただの設計企業から、業界地図を塗り替える中核プレイヤーへと進化しつつある。一方で競合の動向も注視が必要であり、既存勢力が防御策を講じる動きも想定される状況にある。

株価下落と顧客との競合懸念が示す市場の複雑性

一方で、Armの成長期待とは裏腹に、過去12か月間で同社の株価は約20%下落しており、3月最終週には1日で5.83%の下落を記録した。市場は同社の業績成長だけではなく、事業モデルの変化や競争環境に対するリスクにも目を光らせている。

とりわけ注目されるのは、Armがチップ販売市場への直接的な参入を視野に入れている点であり、これは従来の顧客企業であるNvidiaやQualcommと利害が衝突する可能性を含んでいる。

この構図は、Armが知的財産ライセンス企業としての立場を超え、より大きな収益源を求めて垂直統合を進める中で避けがたい摩擦といえる。その一方で、顧客企業との競合が表面化すれば、ライセンス契約に影響を及ぼす可能性があるため、事業の安定性という観点から市場が慎重な姿勢を崩していないとも読み取れる。

また、グローバルな半導体市場全体が、減速懸念や地政学的リスクにより変動しやすい地合いにあることも、株価の不安定さを助長している要因と考えられる。

今後の焦点は、Armが競争関係と顧客関係のバランスをどのように取るかにある。短期的な業績を超えた戦略判断が、同社の市場評価を左右する局面を迎えている。

Source:Benzinga