2025年3月31日午後6時頃、ビットコインのブロックチェーンにて取引数の急減が観測された。ブロック高890,138以降、通常の容量を下回るブロックが連続し、ネットワークの通常のリズムから逸脱した状況が続いた。
この現象により、未処理の取引メモリプール(mempool)は一時的に完全に空となり、送金手数料は最安値の1サトシ/vB(約12セント)まで低下。背景には、オーディナルインスクリプションの沈静化や、ETFによる長期保管型のUTXO増加など、ユーザー行動の変化が影響している可能性がある。
当該現象はわずか数時間で収束傾向を見せたが、ビットコインネットワークの構造的転換点を示唆する兆候として、引き続き注視が必要である。
空白のメモリプールと最低水準に達した送金手数料

2025年3月31日午後6時、ビットコインのネットワークにおいて、未処理取引を一時的に保管するメモリプール(mempool)が完全に空になるという異常事態が発生した。ブロック高890,138から続く一連のブロックでは、いずれも容量が不十分なまま承認され、最小で500件、最大でも1,311件という極端に少ないトランザクションしか待機していなかった。これにより、ビットコインの送金手数料は最低水準の1サトシ/vB、約12セント前後にまで落ち込んだ。
この状況下では、処理優先度の高低にかかわらずすべての送金が即座にブロックへ組み込まれるという、ネットワークにとっては異例の高速処理が実現されていた。また、平均ブロック間隔も9分38秒と安定しており、システム上の障害やハッシュレートの乱高下といった技術的問題が背景にある可能性は低いと見られる。ただし、トランザクション数が低水準にとどまったままでは、採掘者の報酬構造やブロック空間の活用効率に対して持続的な影響を及ぼすおそれもある。
インスクリプション熱の終焉と保管志向のUTXO蓄積
2024年にはビットコインの1日あたりトランザクション数が約100万件に迫る過去最高を記録したが、その背景にはOrdinalsによるインスクリプション需要の急増があった。だがこの熱狂は年末を境に急速に沈静化し、2025年に入ってからは明らかに勢いを失っている。その結果、日常的な取引活動の一部が減退し、ネットワーク全体の動きが緩慢になった。
一方で、StrategyやMARAのような大口保有者や、ビットコイン現物ETFによる保管需要の拡大が進んでおり、多数のUTXO(未使用取引出力)は長期保存状態にある。これらの資産は短期間で移動される可能性が極めて低いため、表面上のネットワーク活動を鈍化させる要因となっていると考えられる。このような構造的な保管志向は、市場参加者の性質変化を映し出すものであり、単なる一時的な送金減少とは異なる現象として捉える必要がある。
一時的な沈黙の後に始まる再活性化の兆候
午後7時20分、ブロック高890,322に達した時点で、メモリプールには再び約3,000件の取引が蓄積され、ブロック2つ分に相当する遅延が発生した。これに伴い、オンチェーン手数料も3〜4サトシ/vBへと再上昇し、静寂の後に取引活動が再び活発化する兆しが現れている。ネットワークの処理能力が正常であることを踏まえれば、これは一過性の需給バランスの変動による現象である可能性が高い。
とはいえ、今後も同様の急減・急増を繰り返すようであれば、トランザクション生成のアルゴリズムや外部サービスの連動性、さらにはユーザー行動の変調が影響している可能性も視野に入る。ブロックチェーンの活動量は、技術仕様以上に参加者の心理や資産運用戦略に左右される局面が多く、今回のような極端な取引量の変動は、ネットワーク設計そのものへの再評価を促す契機ともなりうる。
Source:bitcoin.com news