2024年11月5日の米国大統領選以降、ビットコインは約22%の上昇を記録し、同期間に14%上昇した金や約3%下落したS&P 500を上回る成績を示している。一方で、第1四半期には「ニュース売り」や流動性の逼迫、ETF資金流入の鈍化など複合的要因で12%の下落を経験した。

アルトコインが軒並み苦戦する中、BTCのドミナンスは61%超へと拡大しており、市場のリスク回避的な資金シフトが顕著になっている。

第1四半期の下落とそれを凌駕した選挙日以降の上昇幅

2025年の第1四半期、ビットコイン(BTC)は約12%の下落を記録し、82,683.16ドルまで値を落とした。背景には「ニュース売り」の動きや流動性逼迫といった短期的要因があったとされる。ドナルド・トランプ前大統領の再登場にもかかわらず、明確な規制緩和策が見えないという失望感がトレーダー心理に影響を与えたと分析されている。

しかし注目すべきは、同じ期間の一時的な下落にもかかわらず、2024年11月5日の選挙日を起点としたBTCの上昇率が22%に達した点である。これは、同期間に14%上昇した金、約3%下落したS&P 500と比較しても顕著であり、長期スパンでの資産保有者にとっては、依然としてBTCの優位性が際立っていることを意味する。

短期的な調整局面で悲観的な見方が強まる一方、一定の期間を俯瞰する視点を持つことで、ビットコインの相対的強さは依然として浮かび上がる。市場が大きな方向性を失う中で、長期的な視点が資産選択において一層重要となっている。

アルトコイン市場の低迷とビットコインへの資金集中

仮想通貨全体が調整局面にある中、ビットコインのドミナンスは61.38%まで拡大している。これは、アルトコインからの資金流出とBTCへの集中が進んでいることを端的に示す数値である。イーサリアム(ETH)は第1四半期に45%以上の下落、ソラナ(SOL)は最高値更新後に33%以上下落し、BNBやカルダノ(ADA)もそれぞれ13.6%、22%の下落を記録した。

例外的にXRPは1%上昇しているが、全体の流れとしてはリスクオフ姿勢が際立っており、ボラティリティの高いアルトコインから相対的に安定感のあるBTCへと資金が流入している。米国市場で注目されているビットコインETFの資金流入が鈍化している中でも、BTCそのものへの信頼性は一定の水準を保っていると考えられる。

市場参加者が不確実性の高まりに警戒を強めるなか、資産の「避難先」としてのビットコインの地位が強化されている構図が読み取れる。過去にはボラティリティの象徴であったBTCが、相対的に「安定的な選択肢」として見なされつつある点が、仮想通貨市場の重心の変化を物語っている。

Source:CryptoSlate