半導体大手AMDが、証券会社ジェフリーズにより「買い」から「ホールド」へ格下げされ、目標株価も120ドルに引き下げられた。AI分野での成果不足と競合Nvidiaとの性能格差が要因とされ、今後の成長見通しに懐疑的な声が強まっている。

AMDの株価は年初来16.4%下落し、過去12か月では44%以上の下落を記録。最新決算では売上・EPSともに予想を上回ったものの、AI向けGPU「MI300」の採用遅れが課題として残る。R&D費用増加による利益圧迫も警戒されている。

一方で、42人中27人のアナリストは依然として「強く買い」を支持しており、平均目標株価は146.71ドル。短期的な逆風の中でも、AMDがAI市場での低コスト代替として地位を築けるかが焦点となる。

AIインフラ競争の焦点となるMI300 性能差と採用動向が評価分岐を生む

AMDが注力するMI300アクセラレータは、同社がAIインフラ市場においてNvidiaに対抗する上で鍵を握る製品である。しかし、現時点での採用実績は限定的にとどまり、NvidiaのGPUがAIサーバー市場で89%のシェアを占める中で、その差は依然として大きい。2024年第4四半期決算では、収益は77億ドル、調整後EPSは1.09ドルと市場予想をわずかに上回ったものの、ガイダンスは市場期待に届かず、特にデータセンター部門への不透明感が株価を押し下げた。

ジェフリーズのアナリストであるブレイン・カーティス氏は、MI300の遅れとAI分野での「限定的な成果」を格下げの主因に挙げており、市場の業績予想が依然として楽観的すぎると指摘した。実際、2025年第1四半期の売上予想は71億ドルと、アナリストの予想を下回っており、クラウド事業者との契約の遅れや導入サイクルの長期化が背景にあるとされる。

MI300の市場浸透は、コスト効率と演算性能のバランスによって左右されるが、現段階では明確な優位性を示せていない。製品性能だけでなく、Nvidiaの「Blackwell」アーキテクチャの登場により競争のハードルは一段と上がっており、AMDが巻き返しを図るには、技術革新と提携戦略の両輪が不可欠となるだろう。

バリュエーションの高さとアナリスト評価に見られる市場の分断

現在のAMD株は、予想PERで27.6倍、売上高比で6.7倍という水準で取引されており、過去水準と比較しても明らかに高めの評価がなされている。これは、CPU市場でのシェア拡大やAI領域への成長期待を背景に、強気な見方が反映されている結果である。一方で、AI向けGPUの普及速度や競合との技術差を懸念する慎重な声も増加しており、市場の評価は二極化している。

Barchartが追跡するアナリスト42名のうち、27名が「強く買い」、14名が「ホールド」、そして1名が「やや買い」としており、全体としては依然としてポジティブな見解が多数を占める。しかし、3か月前と比較して格下げの動きが進んでおり、コンセンサスレーティングも4.61から4.31へと下落。今回のジェフリーズによる目標株価120ドルは、ストリート全体の平均である146.71ドルから大きく下回っている。

投資家の注視点は、MI300の展開状況のみならず、クラウド事業者や大手顧客との関係構築の進捗に移行している。過去12か月で44%以上下落した株価が反転するには、単なる業績改善にとどまらず、戦略実行力と市場の信頼回復が不可欠である。現在の株価が「買い場」であるか否かは、今後数四半期の成長軌道次第で明確になるだろう。

Source: Barchart