AIチップ市場を牽引するNvidiaが、創業2年のスタートアップLepton AIの買収に向けて数億ドル規模の交渉を進めている。LeptonはNvidia製チップを活用したAIサーバー提供で急成長しており、2023年にはCRVやFusion Fundから1100万ドルの出資を受けた。
一方で著名空売り投資家ジム・チャノスはこの動きを警戒しており、自社製品再販業者の買収は在庫処理や売掛金の問題を隠す兆候だと示唆。中国との貿易摩擦や規制強化の可能性も、同社の成長戦略に影を落とす。
それでもNvidiaはAIインフラの主要領域で圧倒的地位を維持し、第4四半期の売上は前年比78%増の393億ドルに達した。将来的な売上倍増予測や「AIファクトリー」構想と合わせて、市場では強気の見方も根強い。
Lepton AI買収の背景にあるNvidiaの事業拡張戦略

Nvidiaは2023年第4四半期に前年比78%増となる393億ドルの売上を記録し、AI分野での市場支配を確固たるものとした。今回のLepton AI買収案は、同社が進めるクラウドデータセンターやエンタープライズIT領域への影響力拡大の一環とされている。Leptonは創業2年にして、CRVやFusion Fundなど著名なベンチャーキャピタルから1100万ドルの資金を調達し、Nvidia製チップを活用したAIサーバーのレンタル事業で急成長を遂げてきた。
このような若い企業の買収は、NvidiaがAIインフラの構築において単なるチップ供給にとどまらず、システムレベルでの統合を推進する姿勢を示す。実際、同社はネットワーキングやスイッチ構築にも力を入れており、包括的な「AIファクトリー」構想を打ち出していることからも、エコシステム全体を掌握する意図が見える。
一方で、このような拡張戦略が短期的に収益にどう影響するかについては不透明な側面も残る。Leptonのような再販業者の統合は、利益率の改善というよりも、供給管理や顧客への直接的アクセス強化を目的としている可能性が高く、単純な買収案件では測れない戦略的布石と言える。
空売り投資家チャノスの懸念とリスクの実態
著名な空売り投資家ジム・チャノスは、NvidiaによるLepton AIの買収報道に対し、X(旧Twitter)で「自社の再販業者を買収しようとするのは赤信号だ」と警鐘を鳴らした。彼はこの動きが、Nvidiaの在庫処理や売掛金引当金に関わる潜在的な問題を示している可能性を指摘しており、短期的な会計上の圧力を懸念しているとみられる。
また、Nvidiaは中国市場をめぐる地政学的リスクにも直面している。2025年5月に施行される予定の輸出管理の強化により、エネルギー効率に関する新しい規則が同社の特殊プロセッサーの輸出に影響を及ぼす可能性がある。こうした規制の波を見越し、同社は今後4年間で米国内の製造施設に数千億ドル規模の投資を計画している。
市場の一部では、これらのリスクが成長鈍化の兆候であるとの見方もあるが、現時点での業績や技術開発の進捗を見る限り、危機的状況とは言い難い。ただし、今後の政策変動や地政学リスクの影響は、株主価値にとって中長期的な注視が必要となる。買収を含めた事業構造の変化は、好材料であると同時に慎重な評価を要する。
Source: Barchart