中国の電気自動車メーカーNioの株価が、過去6か月で41%、直近5日間で12%下落するなど急落している。背景には、トランプ前大統領による25%の自動車輸入関税の発表と、Nio自身による1億1,879万株規模の新規株式発行がある。

同社は米国市場への進出機会を事実上失い、国内市場でもBYDやXPengといった競合の急成長に直面。赤字経営が続く中、5億ドルの資金調達に踏み切る姿勢は、さらなる希薄化リスクを示唆している。

ファンダメンタルズはROEマイナス165%と極めて厳しく、バランスシート上も債務超過が目立つ。アナリストの一部は一定の上昇余地を示すが、市場の不確実性が高まる中で、楽観視は困難といえる。

関税と資金調達が重なるタイミングで株価が大幅下落

Nioの株価は、2021年初頭に1株60ドル超を記録したが、その後90%以上下落し、過去6か月でも41%、さらに直近5日間だけで12%下げている。この急落の主因は、ドナルド・トランプ前大統領が発表した自動車および部品への25%の関税措置と、Nioが実施した大規模な新規株式発行にある。トランプ氏の方針は、米国市場におけるNioの事業展開を著しく困難にするものであり、同社が成長の軸としてきたグローバル市場戦略の一角が揺らいでいる。

さらに、Nioは最大で1億1,879万株のクラスA株式を新たに発行する計画を公表しており、5億ドルの資金調達を見込む。しかしながら、これによって株主価値の希薄化が懸念され、既存株主からの信認が揺らぐ結果となっている。株価が下落する局面での増資は、市場に対して企業の財務的脆弱性を示すサインと受け取られる場合が多く、需給バランスの悪化が追い打ちをかけたといえる。

このように、政治的要因と企業側の資金戦略が重なり合ったタイミングで、Nioの株価は市場の不安心理にさらされており、短期的な反発は期待しにくい状況である。

成長性を蝕む競争環境と財務体質の脆さ

中国市場では依然としてEVの需要が堅調であり、構造的にはポジティブな変化が続いている。とりわけ若年層を中心にEVの普及が進んでおり、市場の成長性自体は揺るがない。しかし、Nioはこの恩恵を十分に享受できていない。理由の一つは、BYDやXPengといったライバル企業の存在である。これらの企業は製品ラインナップの強化とコスト競争力を背景に急成長を遂げており、市場シェアを急速に拡大している。

Nioは未だに巨額の赤字を抱えており、ROEは-165%という極端に悪い水準にある。バランスシート上でも、負債総額が株主資本を上回るなど、健全性には疑問符がつく。こうした財務の弱さは、経済が減速する局面において顕著なリスク要因となり、将来的な黒字化の可能性にも暗い影を落としている。

成長市場に位置しながらも、競争の激化と財務的な持続可能性への懸念がNioの事業拡大を阻んでいる。中長期的にみても、企業価値を大きく押し上げる要素が現段階では乏しいと判断される。

Source: Barchart.com