テスラ株の先行きに対するウォール街の評価が激しく割れている。2025年の目標株価として、JPMorganが120ドルの下落予測を掲げる一方、Wedbush SecuritiesはAIやロボタクシーを原動力に550ドルへの上昇を見込む。
株価は2024年初頭に約40%下落するも、前年には62.5%の急騰を見せており、ボラティリティの高さが市場を揺さぶっている。加えて、関税政策や中東市場への拡大戦略、自動運転技術の進展といった複数の要因がテスラの将来に複雑な影響を及ぼしている。
決算では製造コスト削減やエネルギー部門の成長が明るい材料となる一方で、利益率の低下や競争激化がリスク要因となっている。評価が真っ二つに割れる背景には、革新性と不確実性が共存するテスラの特異なビジネスモデルがある。
株価の乱高下が映す市場の分断 2025年に向けたテスラ株への評価の幅

テスラ(TSLA)の株価を巡る評価がこれほどまでに割れる背景には、企業の成長指標と外部環境が交錯する構造的な要因がある。2023年には株価が62.5%も上昇し、電気自動車(EV)への楽観が広がったが、2024年の第1四半期には納車台数の期待外れやBYDをはじめとする競合の攻勢により、株価は約40%も下落した。こうした急激な変動が、ウォール街のアナリストによる予測を極端な二極に分けている。
JPMorganは120ドルの目標株価を掲げ、2025年の納車成長は事実上停滞すると指摘する。一方で、Wedbush SecuritiesはAIやロボタクシーを成長エンジンと見なし、550ドルという高値予想を打ち出している。平均目標株価は337.42ドルであるが、その内訳は明確な二極構造をなしている。
この評価の幅は、単なる業績数値ではなく、テスラという企業の持つ未来志向の象徴性が評価に与える影響の大きさを示している。FSD(完全自動運転)技術やロボタクシー事業の進展は希望として語られる一方で、競合との価格競争や販売地域の制約といった現実がその期待を押し戻す構図にある。
テスラの財務と戦略に見る強みと脆さ 製造原価の削減と政治的リスク
テスラの最新の決算では、車両1台あたりの製造原価が3万5000ドルを下回り、同社にとって過去最低の水準となった。これは原材料価格の改善と効率的な生産体制による成果であり、原価重視の消費者層にとって魅力的な価格戦略を可能にする要素となっている。さらに、エネルギー貯蔵製品分野では、2024年の年間導入量が31.4GWhに達し、前年比でほぼ2倍に拡大している。
こうした数値は、テスラが単なるEVメーカーにとどまらず、エネルギーインフラ企業としての側面を強めている証左といえる。しかし、売上高は前年同期比2%増にとどまり、営業利益率は6.2%へと低下。利益の減少は、車両価格の下落とAI関連プロジェクトへの研究開発費の増加が影響している。
また、国内市場では法的・政治的な課題も顕在化している。ウィスコンシン州では直営ディーラー設立を巡る訴訟が継続し、マスク氏がトランプ政権との関係を強める中で、政治的スタンスが企業運営に及ぼす影響も注目される。関税政策によってテスラが他社より有利になる可能性はあるが、その反面、米国外市場での逆風が懸念される状況にある。
Source: Barchart