サムスンは、スマートフォン部門を率いてきたTM Roh氏が、新たにデバイスおよび家電部門を統括するDX部門の責任者に就任したと発表した。これは先週、前任のJH Han氏が心臓発作により急逝したことを受けたもの。TM Roh氏は引き続きモバイル部門も兼任し、品質革新委員会の監督も担うこととなる。
2020年からスマートフォン戦略を主導してきたTM Roh氏の昇格は、リーダーシップの空白を避ける狙いがあると見られる。加えて、Choi Won-jun氏とKim Cheol-gi氏の新ポジション就任により、スマートフォンからテレビ・家電までをカバーする経営陣の布陣が一新され、今後のグローバル市場での展開にも注目が集まっている。
TM Roh氏の就任でモバイルと家電が一体運営へ 重なる責任がもたらす変化とは

サムスンは、スマートフォン部門を率いてきたTM Roh氏を、新たに家電やテレビを含むDX部門の責任者に起用した。これにより、Samsung MXとDXという二大事業が一人の指揮のもとに置かれる異例の体制が敷かれることとなった。TM Roh氏は、2020年にモバイル部門のトップに就任して以来、Galaxyシリーズを軸に安定した成長を維持しており、その手腕は社内外で高く評価されている。
DX部門は冷蔵庫、洗濯機、エアコン、そしてテレビといった家庭向け製品群を担当しており、ユーザーの生活と直結する分野を担う。これまでモバイル領域を専門にしてきたTM Roh氏が、こうした異なる製品カテゴリの統括も務めることは大きな挑戦となる。ただ、スマート家電の普及が進む中で、モバイルと家電の融合が求められる現代において、両部門の一体運営は自然な流れとも言える。
スマートフォンとテレビ、冷蔵庫や洗濯機が同じ思想でつながることで、家庭内エコシステムの完成度がより高まる可能性がある。TM Roh氏の統括により、ハードウェアの垣根を超えた製品連携やソフトウェアの共通化が進むことが期待されるが、反面、各製品の個別最適をどう維持するかが問われる展開にもなる。
新体制で注目されるChoi Won-jun氏とKim Cheol-gi氏 現場経験が支える運営の鍵
今回の人事では、TM Roh氏の昇格と並び、サムスン内の実務レベルでも変化が生じている。Samsung MXとDXで開発とグローバルオペレーションを統括してきたChoi Won-jun氏は、両部門のCOO(最高執行責任者)に任命された。彼はかつてクアルコムでの経験もあり、スマートフォンの開発から通信技術まで精通した人物として知られている。技術面と組織運営の両方に関与してきた経歴が、今後の全社的なオペレーション効率の要となる可能性がある。
また、Samsung MXで戦略マーケティングを担ってきたKim Cheol-gi氏は、今後デジタル家電(DA)部門のディレクターとしてテレビや家庭用機器の開発と販売に関わる。販売戦略だけでなく技術理解も深い彼の存在は、特にスマート機能を搭載した家電の展開で大きな武器となる。製品の価値が「機能」だけでなく「つながり」や「体験」にシフトしている現状では、こうした人物の配置が非常に重要になる。
今回の新体制は、単なる肩書きの変更ではなく、モバイルと家電という異なる分野を横断する新たな試みといえる。それぞれの部門が持つノウハウを交差させながら、より一体的な開発と運営を目指す動きが加速すれば、ユーザーにとっての利便性や使用体験にも直結する変化となるだろう。
リーダー交代の背景にある緊急性と組織の安定化への意図
TM Roh氏の昇格は、JH Han氏の突然の死去という非常事態を受けた対応である。Han氏は長年にわたりSamsung DXを率い、テレビや家電の分野で数々のヒット製品を生み出してきた中心人物だった。心臓発作という予期せぬ出来事の影響で、企業としては即座の対応が求められた。サムスンがその後任にTM Roh氏を指名したのは、彼がすでに社内でリーダーシップを発揮していた人物であり、経営体制の混乱を避けるためにも最適な選択肢だったと考えられる。
リーダーの急逝は、組織全体にとって動揺を招きかねないが、その空白を最小限にとどめる判断が迅速になされた点に、サムスンの危機管理の強さが表れている。すでにTM Roh氏が品質革新委員会の監督も引き継ぐことが発表されており、彼の役割は形式的なものにとどまらず、経営の中枢としての重責を担うものとなっている。
とはいえ、急場をしのぐだけでは長期的な成果にはつながらない。モバイルとは異なる家電部門をどう掌握し、製品開発や販売網にどのように影響を与えるかはまだ不透明な部分もある。今後の製品群にその采配がどう反映されていくのか、特に複数製品間の連携やソフトウェア更新の頻度など、日常で直面する体験にどれほどの変化が生まれるのかが注目される。
Source:SamMobile