2025年3月下旬、金価格は1オンスあたり3,160.70ドルと過去最高を記録し、2022年11月からの上昇率は95%を超えた。背景には、各国中銀による買い支え、インフレ圧力、地政学的混乱、通貨下落への懸念が複合的に作用している。
1980年のインフレ調整後の高値である3,400ドルが次の上値目標とされる一方、急激な上昇に伴う反落の可能性も指摘されている。短期的には2,844.10ドルが重要なテクニカルサポートであり、心理的な転換点となる恐れもある。
金の長期的強気相場は1999年の252.50ドルを起点に続いており、その背後には実物資産としての信頼と、法定通貨の購買力低下がある。4月以降も高値更新の可能性は高いが、調整局面突入への警戒も怠れない局面となっている。
世界最古の資産が示す強気継続の根拠と3,400ドルへの視界

金価格は2025年3月下旬に1オンスあたり3,160.70ドルの史上最高値を記録し、2022年11月の安値からの上昇幅は95%を超えた。価格上昇の背後には、中央銀行による準備資産としての金の買い増し、依然高水準にあるインフレ、地政学的な混乱がある。とりわけ、世界的な通貨価値の下落に対する不安が、法定通貨から金への資金移動を促している。
1980年のインフレ調整後の高値875ドルを現在の価値に置き換えると、およそ3,400ドルに相当し、これが市場の次なる上値目標として意識されている。さらに、ヨーロッパ市場から米国市場への金の移動に伴う物流のボトルネックも価格上昇圧力を強めており、先物市場での需給のひずみが見られる状況にある。
こうした構造的な需要の増加と供給の制約により、金は単なるリスク回避資産の枠を超えて「インフレ調整後の通貨」としての役割を強めている。市場における長期的なトレンドは上昇基調を維持しており、3,400ドルという象徴的な水準の突破が視野に入りつつある。
金価格調整リスクと心理的節目が示す反落の可能性
現在の金価格は高騰を続ける一方で、過熱感に対する警戒も強まりつつある。2024年11月以降、大きな反落が一度も発生していない点は特筆すべきであり、強気一辺倒の市場心理がピークに達しつつある兆候とも受け取れる。3,125ドルを超える最高値更新が続く一方で、短期的なサポートラインとして意識される2,844.10ドルを割り込めば、弱いロングポジションの一斉清算が起こりかねない。
市場における金の急伸は「強気の特急列車」と形容されてきたが、いかなる上昇トレンドであっても調整局面は不可避である。特に、最近の幅広い買いが逆に市場の脆弱性を高めており、ひとたび外部要因――たとえば地政学リスクの緩和や米ドルの急反発――が加われば、短期的な価格急落の引き金となり得る。
金は長期的には通貨価値低下の象徴としての地位を保っているが、相場が一本調子で上昇するわけではない。むしろ、26年に及ぶ強気相場のなかで幾度も調整を経験しており、現在もまた、その節目に差しかかっている可能性がある。価格の急伸が続くほど、反動は一層大きくなる危うさを孕んでいる。
Source:Barchart.com