半導体大手Nvidiaが、AI市場での圧倒的な存在感にもかかわらず、2025年4月に入り大きな逆風に晒されている。米中間の貿易摩擦や規制強化に加え、中国でのチップ使用禁止措置、提携企業CoreWeaveのIPO失敗などが連鎖的に影響を与え、株価は3月に12%下落。データセンター投資の鈍化懸念も浮上している。

一方で、第4四半期決算では前年比77.9%増の売上高を記録し、財務基盤は堅固。AI分野の成長性とクラウド・自動車業界との連携は依然として注目に値する。PERやPSRも過去平均を下回っており、評価の見直し余地は残されている。

アナリストはなお強気な姿勢を維持しており、平均目標株価は現在値から65%の上昇を見込む。だが、地政学的リスクと市場の動揺を踏まえると、「押し目買い」の判断には慎重な視点が求められよう。

地政学的圧力と市場心理が映すNvidiaの不安定な足元

Nvidiaは2025年4月、複数の外的要因により市場からの信認が揺らいでいる。最大の懸念は、ドナルド・トランプ前大統領が導入予定とする「相互関税」によるインフレ圧力と供給網の混乱だ。これに加え、ワシントンが中国のハイテク産業に対する規制を一段と強化したことで、NvidiaのH20チップが中国市場から排除される事態に発展した。このような貿易・規制の二重苦が、投資家心理を冷やし、3月には株価が約12%下落する結果を招いている。

さらに、AIインフラに不可欠なデータセンター投資の減速懸念も浮上しており、同社の成長鈍化を警戒する声が出始めた。パートナー企業CoreWeaveのIPO失敗も、AI分野への期待に水を差す格好となっている。これらの事象は、単発的な悪材料ではなく、グローバル経済の変化と技術覇権を巡る対立構造が生み出す構造的リスクの表れである可能性がある。短期的には不透明感が強まり、同社にとって厳しい局面が続くと見られる。

決算と財務指標に映るNvidiaの堅実な基盤と長期成長性

一方で、Nvidiaの2025会計年度第4四半期決算は、AI分野の継続的な成長を示すものとなった。売上高は前年比で77.9%増の393億ドル、調整後1株利益も71.2%増と、いずれも市場予想を上回る内容であった。とりわけデータセンター事業の存在感は圧倒的で、売上高は前年比で2倍近くに拡大。これを支えたのは同社のBlackwell AIチップであり、AI需要の中核に位置する技術的優位性を明確に示した。また、AmazonやMicrosoftといったクラウド大手との連携強化も、成長の裾野を広げる要素となっている。

財務面でも安定感は際立っており、現金残高は432億ドルを超え、前年から66.3%の増加を記録した。積極的な投資を行いながらも健全なネットキャッシュを維持しており、資本効率と持続可能性の両立が可能な体制を構築している。フォワードPERが26.4倍、PSRが13.09と、過去の評価水準より抑えられている点は、同社が成長企業でありながら割安に見えることを示唆している。中長期視点では、AIインフラの鍵を握る存在として再評価される余地が大きいと考えられる。

Source:Barchart.com