Microsoftは、Windows 11におけるCopilot+ PC向けAI機能を拡充し、従来Snapdragon搭載機に限定されていた「ライブキャプション」や「Cocreator」などを、AMDのRyzen AI 300およびIntelのCore Ultra 200Vプロセッサ搭載PCにも段階的に提供開始した。
これによりPaintとPhotosアプリが画像生成やスタイル変換に対応し、音声・映像コンテンツからリアルタイム字幕を生成する多言語対応機能も拡充される。一方、発表以来注目されつつも物議を醸している「Recall」機能に関しては、今回の更新内容に一切含まれておらず、実装の見通しは依然として不透明なままである。
Microsoftは「年内導入」を明言するが、展開の時期と対象範囲は流動的であり、確実な利用には今後のWindowsアップデートとアプリ更新の状況に注意を要する。
AMD・Intel搭載Copilot+ PCに拡大するAI機能の全容

Microsoftは、これまでSnapdragon X Eliteを搭載したPCに限定されていたAI機能群を、AMD Ryzen AI 300およびIntel Core Ultra 200V(Lunar Lake)プロセッサを搭載したCopilot+ PCにも本格的に展開し始めた。
注目すべきは、リアルタイム字幕生成が可能な「ライブキャプション」、テキストやスケッチから画像を生成する「Cocreator」、画像を油絵風などに変換できる「Restyle Image」などである。PaintやPhotosといった標準アプリが、生成系AIとの統合によって実用性と創造性を同時に高めている点は見逃せない。
また、ライブキャプションは40以上の言語から英語への字幕変換に対応し、将来的には簡体字中国語の翻訳もAMD・Intelデバイスに導入予定とされる。
これらの機能は3月のWindows 11プレビューアップデート、あるいは4月の累積アップデートによって順次提供される見込みであり、展開状況はプロセッサやデバイスごとに異なる。Microsoft Storeを通じたアプリ更新も併せて必要となるため、実際の利用には一定の準備とタイミングの見極めが求められる。
Recallの欠如が示すAI戦略の変調
Microsoftがかねてより「重要な機能」として打ち出してきた「Recall」が、今回のAI機能拡張のラインアップから完全に姿を消している点は注視に値する。Recallは、PC上のアクティビティを自動的に記録し、それをもとに過去の操作履歴を検索可能にする仕組みで、強力な生産性ツールとなるはずであった。
しかしながら、プライバシーやセキュリティに対する懸念が根強く、昨年の発表直後には反発が集中し、その後はテスト段階にとどまっている。
MicrosoftはRecallの最終的な導入を否定しておらず、「時間をかけて慎重に対応すべき技術」との認識を示しているが、今回の更新でも一切触れられていない現実は、提供時期が大幅に遅れる、あるいは仕様変更を伴う可能性を示唆していると言える。
AIの透明性と信頼性がグローバルで問われる中、Recallのような記録型機能に対する姿勢は、同社のAI戦略全体における軌道修正の一端とも受け取れる構図である。
Snapdragon搭載機との機能格差が生む導入時期の温度差
現在、Copilot+ PCの中でも最もAI機能を早期に体験できるのは、依然としてSnapdragon Xシリーズを搭載したモデルである。これらのデバイスには、音声操作を自然言語で行える「Voice Access」の高度化や、中国語対応のライブキャプションなど、他プロセッサではまだ実装されていない要素がすでに導入済みである。
AMD・Intelデバイスへの展開は「年内」とされているものの、段階的な提供にとどまるため、ユーザー体験には大きな時差が生じることとなる。
AI体験を最大限に享受したいユーザーにとって、選択すべきハードウェアが限定的である現状は、Copilot+の普及において一定の障壁となり得る。加えて、最新機能を早期に試すにはWindows Update設定の変更が必要であるが、プレビュー版には不安定要素も含まれる。
よって、完成度と導入時期のバランスを慎重に見極める必要があり、AI活用に関する戦略は、単なるスペック選びを超えた判断が求められる段階に差し掛かっている。
Source:TechRadar