AMDの人気CPU「Ryzen 7 9800X3D」が、突如として動作不能に陥る事例が相次いで報告されている。Reddit上には108件の故障報告が集まり、そのうち98件がAsrock製マザーボードと組み合わせて使用されていた。X870チップセット搭載の構成に集中しており、他社製マザーボードでは発生件数が大幅に少ない。

Asrockは今年2月にAM5マザーボード向けファームウェアを更新していたが、これとの因果関係は現時点で明らかになっていない。Ryzen 7000X3Dで発生した過熱問題を想起させる一方で、一部にはユーザー側の操作ミスによる故障も含まれていたとの指摘もある。

販売台数を考慮すれば発生率は限定的と見なすことも可能だが、高価格帯製品に対する信頼性の揺らぎは看過できず、今後の動向が注視される。

Asrock製マザーボードに集中する故障報告とチップセット別傾向

Ryzen 7 9800X3Dの予期せぬ故障報告は、Reddit上にて少なくとも108件が確認されており、そのうち約9割にあたる98件がAsrock製マザーボードとの組み合わせで発生している。とりわけX870チップセットが49件と最多で、次いでB850が36件、B650が16件、X670が7件という内訳である。

ファームウェアの更新時期や使用環境との関係性は依然不透明であり、Tom’s Hardwareが伝えるように、Asrockは2月にAM5対応の新ファームウェアをリリースしていたが、今回の不具合との関連性は確認されていない。

他社製マザーボードでは、Asusが16件、MSIが5件、Gigabyteが1件と報告数が少なく、Asrock製品に問題が集中している点は否定し難い。ただし、Asrockは価格競争力と市場流通量において優位性があり、シェアの高さが数値に影響している可能性は十分に考慮する必要がある。

こうした状況は、単なる製品不具合という枠を超えて、マザーボードとCPU間の相性や電力制御設計の問題に着目すべき段階に入っている。

再燃するX3Dシリーズの信頼性課題と高性能志向の影

今回の9800X3Dに関する故障問題は、過去に発生したRyzen 7000X3Dシリーズの過熱問題を想起させる。当時はAMD EXPOプロファイルとSoC電圧の設定が主な原因とされ、Gamers Nexusの技術検証を契機に、Asusが保証方針を修正するなど業界全体が揺れた経緯がある。

今回のケースでも、オーバークロックや高温使用がない状況での熱損傷が報告されており、システム設計全体に潜在する脆弱性が疑われる。

Ryzen 7 9800X3Dは、発売直後から品薄状態が続き、月間販売数は数千台に達していたとされる。この販売規模を考慮すれば、100件超の故障は統計的には限定的と見る向きもあるが、数十万円規模のシステムを構築する利用者にとって、故障の発生率ではなく故障の重大性がより深刻な意味を持つ。

とりわけゲームやプロダクション用途においてCPUの安定性は最優先事項であり、現在のような“突然死”のリスクは、製品選定時の決定的な懸念材料となりうる。

Source:TechSpot