インテルはVision 2025カンファレンスにて、1.8nm世代にあたる18Aプロセスノードがリスク生産に突入したと発表した。RibbonFETとPowerViaを初めて両採用するこのノードは、同社の次期主力製品「Panther Lake」プロセッサを支える鍵となる技術と位置づけられる。

同発表は、Pat Gelsinger前CEOが掲げた「4年間で5ノード(5N4Y)」計画の達成が目前であることを示唆し、新CEOのLip-Bu Tan氏の下で進む半導体戦略の転換点ともなった。リスク生産入りにより、テストチップ製造から一歩進み、今後は少量から中量生産へと段階的に拡大される見通しである。

ただし歩留まりは依然として不安定であり、顧客各社は量産化前の技術的リスクを許容することで市場投入の早期化を図っている。18Aプロセスは現在、アリゾナ州での製造が進行中であり、4月のFoundry Direct Connectイベントでは今後の詳細戦略が開示される予定だ。

Panther Lakeに直結する18Aの進捗と量産体制の転換点

インテルが発表した18Aプロセスノードのリスク生産入りは、同社が掲げる「5N4Y」ロードマップの中でも特に重要な進展である。RibbonFETとPowerViaという2つの先進技術を同時に採用したこのノードは、従来のFinFETを超える性能向上とトランジスタ密度の拡大を可能にするものであり、1.8nm世代の競争力を左右する鍵を握る。

インテルは18Aノードで、シャトルと呼ばれる多設計混在の試験チップを経て、単一設計を全ウエハに適用するリスク生産段階へと進んだ。

このリスク生産は、Panther Lakeプロセッサの量産体制整備に不可欠なステップであり、2025年後半に向けた製品投入スケジュールと整合している。

歩留まりやプロセス安定性の確立はなお途上にあるが、数百から数千単位の生産を通じてPDKの検証と最適化が進む。インテルが現段階で顧客名や用途を明かしていないにもかかわらず、Panther Lakeとの関連が強く推測されるのは、このリスク生産の時期とスケールが同プロセッサの製造工程に合致しているためである。

ファウンドリーサービス強化を掲げる中で、18Aの進展はインテルの再浮上戦略を体現している。リスク生産の現場となるアリゾナ州ではすでに18Aウエハの製造が進行しており、インテルはこれをもって先進ノードへの本格参入を果たそうとしている。

顧客との関係性に変化をもたらすリスク生産の意味

Kevin O’Buckley氏が語ったように、「リスク生産」という言葉には誤解を招く響きがあるが、これは業界標準の用語であり、製造技術が“凍結”可能な水準に達したことを意味している。

顧客がこの段階で試作品の導入を決断するのは、量産前であっても競合よりも先に製品開発を進める利点を見越しての行動であり、開発サイクル短縮を重視する動きが背景にある。インテルにとっても、顧客との協業を深める契機であり、18Aが外部顧客と自社製品の双方に用いられるノードである可能性が強まっている。

このリスク生産は、従来のシャトルとは異なり単一設計に特化することで、製造工程や装置条件の最適化、さらにはPDKの現場検証を可能とする。歩留まりやパラメトリック特性が未確定の段階ではあるが、それこそがリスク生産の本質であり、あえてその不確実性を受け入れる顧客層の存在がインテルのファウンドリー戦略を支えている。

加えて、コスト圧縮のため20Aノードの量産を見送ったインテルにとって、18Aノードの成功はロードマップの中で代替的な意味合いも担っている。

Panther Lakeが初の18A採用プロセッサであると同時に、RibbonFETとPowerViaの性能検証の場でもあることから、リスク生産の成果は技術的信用を左右する試金石となる。今後の生産規模拡大が計画通りに進行すれば、18Aノードはインテルの復権を象徴する存在となり得る。

Source:Tom’s Hardware