Android 16において、端末が3日間使用されていない場合に自動で再起動する「非アクティブ再起動」機能が追加される可能性が浮上した。この機能は、iOS 18やGrapheneOSが先行して採用しているもので、再起動後に生体認証が無効化され、暗号鍵が一時的にロックされるため、盗難後の不正アクセスを大幅に困難にする狙いがある。
Google Play ServicesアプリのAPKから発見された情報によれば、この新機能は「Android Advanced Protection Mode(AAPM)」の一部として提供され、2G通信の無効化やアプリのサイドロード制限なども含む強固な保護体制が構築される見通しだ。
Android 16は2025年第2四半期後半に登場予定で、Google I/O 2025にてさらなる詳細が発表されると見られている。
非アクティブ再起動の仕組みとiPhoneとの類似点

Android 16で導入予定の「非アクティブ再起動」は、端末が3日間操作されなかった場合に自動的に再起動を行う機能である。この仕組みは、端末が盗難に遭った際に生体認証や一時的なセッション情報を初期化し、暗号鍵のアクセスを遮断することで、不正なロック解除ツールからの侵入を防ぐ設計となっている。再起動によって、暗号化されたデータはSecure EnclaveやTrustZoneのようなハードウェアベースの保護領域にロックされるため、仮に端末がハッキングされても情報流出のリスクが大きく下がる。
この機能は、iOS 18でAppleが先に導入した機能と構造的に類似している。Appleでは当初、7日間の非アクティブ期間で再起動が実行される仕様だったが、iOS 18.1ではこの期間を3日に短縮している点も共通している。さらに、プライバシー重視で知られるGrapheneOSでは、非アクティブ時間が18時間に設定されており、セキュリティレベルの調整がOSごとに異なるのが特徴だ。
こうした共通点から、AndroidがiPhoneやGrapheneOSの実装を参考にしながら、セキュリティの水準を引き上げようとしている動きが見える。Android 16の正式リリースは2025年第2四半期後半が予定されており、Google I/O 2025での発表が注目される。
AAPMによるロックダウンとユーザー側の影響
Android Advanced Protection Mode(AAPM)は、Android 16において新たに導入されるセキュリティ層であり、「非アクティブ再起動」もこのモードの一要素とされている。AAPMを有効にすることで、2G接続を無効化し、不明なソースからのアプリインストールをブロック、さらにメモリタグ拡張(MTE)を活用してメモリ破損に伴う脆弱性を低減する構成になっている。これらはすべて、意図しない通信やマルウェア侵入のリスクを抑える設計だ。
また、AAPMが有効かどうかをアプリ側が検知し、セキュリティ強度に応じて処理を変えることも可能となる。これにより、通信アプリや金融系アプリはより厳密なセキュリティ制御を行えるようになる可能性がある。ただし、これらのロックダウンは一部の機能制限にも繋がるため、利便性とのバランスが重要となる点も見逃せない。
このような保護強化の流れは、ユーザーが不用意に危険な環境へ接続したり、怪しいアプリをインストールすることを防ぐ一方で、設定の複雑化や制限の増加といった負担をもたらす側面もある。セキュリティを最優先に据えた設計である一方で、選択的に機能をオンオフできる柔軟性が求められるだろう。
頻繁な再起動のセキュリティ効果とその限界
GrapheneOSが2024年1月に提唱したように、スマートフォンを定期的に再起動することは、ファームウェアレベルの攻撃から端末を保護する効果があるとされている。再起動後の端末は「休止状態」に入り、暗号鍵へのアクセスが制限されるため、ファームウェアの脆弱性を悪用した手法が機能しづらくなるという。Android 16の「非アクティブ再起動」もこの観点から、定期的なリフレッシュを自動化する役割を持つ可能性がある。
しかし、再起動によるセキュリティ強化には明確な限界もある。例えば、端末が再起動される前にマルウェアが常駐化していた場合や、ユーザーが弱いパスコードを設定していた場合、再起動後のロックも簡単に突破されてしまうリスクが残る。また、業務用端末や長期間稼働が求められる場面では、再起動が逆に支障となることも考えられる。
つまり、非アクティブ再起動はあくまで複数あるセキュリティ対策の1つであり、過信すべきではない。利用者側が基本的なセキュリティ意識を保ち、強固なパスコードや生体認証の設定を行うことこそが、最終的な防御線となるだろう。再起動機能は、その補完として非常に有効な補助機能と位置付けられる。
Source:Tom’s Guide