アップルは最新OS「iOS 18.4」で、独自AI「Apple Intelligence」の対応言語を日本語やフランス語など計10言語に拡大し、世界中での利用可能地域を大きく広げた。これにより、iPadOSやmacOS、Vision ProにもAI機能が実装されたが、注目のSiri刷新は依然として延期中である。

シティはこの状況を踏まえ、「株価はSiriの遅延による下落後、魅力的な水準に近づいている」とし、目標株価を275ドルに設定。アップル株は1日、0.5%上昇し終値223.19ドルを記録した。一方、UBSはiPhoneの世界販売が2月に前年比1%減と報告し、中国・欧州ではそれぞれ17%、12%の大幅減少が続くなど、主力製品の需要鈍化に慎重な姿勢を崩していない。

Apple Intelligenceが拡張する多言語対応とプラットフォーム展開の狙い

4月1日に公開されたiOS 18.4では、AppleのAI機能「Apple Intelligence」が新たにフランス語、ドイツ語、イタリア語、ブラジルポルトガル語、スペイン語、日本語、韓国語、中国語(簡体字)に対応した。これに加え、シンガポールおよびインド向けの英語仕様も導入され、これまで英語圏中心だったAI利用がグローバルに拡大する形となった。

同日にはiPadOS 18.4、macOS Sequoia 15.4のリリースも行われ、Apple Intelligenceの適用範囲はタブレットやデスクトップにも拡大された。また、Apple Vision Pro向けには米国英語によるAI機能も追加され、同社の主要製品群が横断的にAI化されつつある。AppleはこのAIを「個人向けインテリジェンスシステム」と位置づけ、プライバシーに配慮した情報提供を強調している。

この展開から読み取れるのは、Appleが全世界の利用者に一貫したAI体験を届ける基盤を急速に整備しているという姿勢である。特定地域や言語に偏らず、分散化と統合性を両立させる同社の設計思想は、プライバシー重視という一貫した企業メッセージとも合致しており、今後のAI市場競争における差別化要素ともなり得る。

Siri刷新延期が示す戦略転換と市場への影響

iOS 18.4のアップデートでは注目されていたSiriの刷新は盛り込まれず、AppleはAI搭載版Siriのリリースを再度延期した。これについてシティのアナリスト、アティフ・マリク氏は「Siri機能に関する期待値は6月9日のWWDC前に調整されるだろう」と述べており、次回決算発表の場で再説明がなされる可能性が高いとみられている。

Apple株は当日0.5%上昇して223.19ドルを記録し、マリク氏は目標株価を275ドルとしながらも、現状の水準はSiri延期に伴う売り込みを経て「リスクとリターンのバランスが取れた水準」にあるとした。一方、UBSのデイビッド・ヴォグト氏はiPhone販売の不振を理由に中立評価を維持し、中国と欧州でそれぞれ17%、12%の出荷減が続いている現状を報告した。

AppleがSiriの再設計に慎重な姿勢を崩さないのは、拙速な導入による評価リスクを回避する意図があると考えられる。過去の大規模な製品刷新において、完成度の低さがブランド毀損につながるケースもある中で、Appleは期待の先送りと株価の調整を許容しながらも、長期的な技術完成度を優先している。これは、目先の反応よりも信頼性を重視する姿勢を明確に示した判断である。

Source:investors business daily