Runway AIが公開した動画生成モデル「Gen-4」は、キャラクターやシーンの視覚的連続性を保持する能力を備え、AI動画制作における根本課題を突破した。これまでのAIモデルは、各フレームを独立した静止画として生成していたため、複数ショット間で人物の顔や背景が変化しやすく、物語としての説得力に欠けていた。

Gen-4では、視覚的な参照と構図の指示を用いて、異なる角度からでも整合性ある映像生成が可能となり、映像制作における「語り」の再現が現実味を帯びる。OpenAIの画像機能によるGhibliブームと並行し、映像分野でも連続性が技術的に達成された意義は大きい。

Runwayは既にLionsgateと提携し、API提供や短編映画の公開、最大100万ドルの制作ファンドなどで市場拡大を図っているが、同時に著作権問題や雇用への影響が議論を呼んでおり、新たな創造の時代と不確実性が交錯する。

Gen-4が打ち破った「動画の連続性」というAIの限界

Runway AIが発表した「Gen-4」は、AI動画生成において長年障壁とされてきたキャラクターやシーンの視覚的な一貫性を保つ機能を備え、商用レベルでの活用に現実味を与えた。従来のAI動画モデルは、各フレームを個別に処理していたため、人物の顔や衣装、背景などが微妙に変化し、複数ショット間で物語としての没入感が損なわれていた。

この根本的な課題に対し、Gen-4は「視覚記憶」を保持する仕組みを導入することで、同一人物やオブジェクトを異なる構図やアングルでも一貫して再現可能にした点が画期的である。

また、ユーザーは720p解像度で5〜10秒の映像を生成でき、参照画像と構図指示の組み合わせによりスタイルやロケーションを制御できる点も新しい。Runwayはこの技術を示す具体例として、「New York is a Zoo」や「The Retrieval」といった短編作品をGen-4のみで制作・公開した。特に「The Retrieval」は1週間という短期間での完成を実現し、実写と遜色ない映像美と物語性を提示した。

この連続性の獲得は単なる技術的進歩にとどまらず、映像表現における「語る」という行為をAIが担う段階へと進んだことを意味する。フレーム単位の生成から、ショット単位の構成、ひいては物語全体の演出へと、AIが映像制作の本質に近づきつつあることを示唆している。


AI動画産業の資本流入と法的リスクの交錯

Runwayは2024年後半から2025年初頭にかけて、「Act-One」や「Gen-3 Alpha Turbo」などの機能強化を重ねたうえで、今回のGen-4へと進化を遂げている。これに伴い、企業価値は40億ドルに達する見込みであり、年間売上3億ドルの達成を目標としている。さらに、Lionsgateとの提携により2万本超の既存作品を基にしたカスタムAI動画生成モデルを開発中であり、映像業界における存在感を着実に拡大させている。「Hundred Film Fund」による100万ドル規模の支援制度は、独立系クリエイター層への影響力強化と市場多様化を見据えた動きといえる。

一方で、この急速な台頭には著作権と雇用に関する構造的な懸念も付きまとう。Runwayは現在、無断使用されたアーティスト作品をトレーニングデータとした疑いで訴訟中であり、その正当性については「フェアユース」を主張しているが、法的判断は未確定である。さらに、アニメーションギルドの調査では、AI導入済の制作会社の75%が職務削減を行っており、2026年までに10万人超のエンタメ職が影響を受ける可能性も指摘されている。

このように、資本の流入と技術の加速によって新たな映像表現が拓かれる一方で、知的財産の保護や労働の尊厳といった本質的な問題が依然未解決のままである。拡大する産業構造と不透明な倫理規範との間に生じる緊張関係は、今後の成長戦略において決して無視できない要素となる。

Source:VentureBeat