インテルの新CEOリップ・ブー・タン氏が1日、ラスベガスで開かれたIntel Vision 2025にて経営再建の戦略を初披露した。顧客との連携強化とエンジニアリング重視の文化を掲げ、「スタートアップ精神」で組織文化の転換を図ると明言。18Aプロセス技術は年後半に量産予定とし、世界的なファウンドリー構築も継続すると語った。
市場は冷静な反応を示し、同日株価は2.9%下落。アナリストからは「具体策に乏しく、課題は山積」との指摘がある一方、「近年で最も建設的な発言」と評価する声も出ている。タン氏は就任2週目での登壇であり、文化変革の実現には時間がかかるとの見方が広がっている。
顧客密着と技術志向を軸に据えた経営方針の転換

インテルの新CEOリップ・ブー・タン氏は、4月1日の講演で「顧客との対話を最優先」とし、従来の製品主導型から顧客ニーズ起点の戦略へと舵を切る姿勢を示した。同時に「エンジニアリング重視」を掲げ、既存の巨大組織を抜本的に刷新し、スタートアップのような柔軟性と機動力を持つ企業体質の構築を目指すと述べた。さらに、用途別に設計されたカスタムシリコンの開発や、高度な演算処理を担う製品群への注力を強調しており、単なるCPU供給企業からソリューション提供企業への脱皮を図る構想がうかがえる。
注目すべきは、インテルが進める先端製造プロセス「Intel 18A」が年後半に量産開始を予定している点である。これは台湾TSMCや韓国サムスンとの技術競争において、生産技術面での挽回を狙う重要な一手となる。かねてより米国内での製造回帰が叫ばれる中、自社ファウンドリーの競争力強化は地政学的にも重要な意味を持つ。ただし、こうした技術革新が短期的に収益へ直結する保証はなく、技術者の採用や開発投資の継続性が中長期的な成否を左右することになる。
株価下落とアナリスト評価に見る経営改革の現実味
同日の市場ではインテル株が前日比2.9%下落し、22.05ドルで取引を終えた。2025年に入り株価は累計で10%上昇しているが、2024年には実に60.1%もの急落を記録しており、依然として市場の信頼は揺らいだままである。特にバーンスタインのアナリスト、ステイシー・ラスゴン氏は、タン氏の講演内容について「詳細に乏しく、謝罪に近い印象」と表現。多くのアナリストが「ニュートラル(中立)」の格付けを維持しており、期待感と慎重姿勢が交錯しているのが現状である。
この背景には、歴代CEOが直面してきた「組織文化の硬直性」という根深い課題がある。インテルは11万人を超える巨大組織であり、その変革には膨大な時間とコストが伴う。エバーコアISIのマーク・リパシス氏も「数四半期を要する長期戦」との見解を示している。現時点では、財務体質の改善策や、AlteraやMobileyeといった非中核事業の売却に関する具体的な言及もなく、投資家側の警戒感は払拭されていない。信頼回復には明確な成果と、段階的な改革の進捗が必要不可欠であろう。
Source:investors business daily