ドナルド・トランプ元大統領の息子2人が設立に関わったアメリカン・ビットコイン・コーポレーションは、カナダの仮想通貨採掘大手Hut 8と共同で新会社を発表し、株式上場を目指す方針を示した。専用集積回路(ASIC)や戦略的準備金を活用した垂直統合型モデルの構築を掲げ、今後は追加の民間資本調達も予定されている。

ジェノートCEOによれば、同社はインフラと資産運用の2軸体制で姉妹企業として並び立つ構想を持つ。加えて、同様の動きは日本企業のメタプラネットや米GameStopにも見られ、企業財務におけるビットコインの位置づけが変化しつつある。

トランプ兄弟が描く米国内ビットコイン基盤の再構築計画

アメリカン・ビットコイン・コーポレーションは、ドナルド・トランプ・ジュニア氏とエリック・トランプ氏が主導する新興企業であり、カナダの大手仮想通貨採掘企業Hut 8との提携によって誕生した。このジョイントベンチャーは2025年3月31日に発表され、ビットコインの採掘だけでなく、戦略的なビットコイン準備金の保有と運用を視野に入れた垂直統合型モデルを構想している。

Hut 8のアッシャー・ジェノートCEOは、同社をインフラ・データセンター領域に特化した企業とし、ビットコインとASIC開発に特化するアメリカン・ビットコイン・コーポレーションと姉妹企業として並立させると語っている。両社の相互補完的な機能を融合することで、仮想通貨分野における新たな産業構造の創出を目指す姿勢が明確である。

トランプ兄弟は、単なるビットコイン保有ではなく、自らがその採掘工程を制御し、収益構造を内製化することに重点を置いている。これは従来の投資的アプローチではなく、プラットフォーム構築による主体的関与を選択したものであり、米国内での自給自足型の仮想通貨産業の確立を意図しているように見受けられる。

デジタル資産を巡る企業動向の変化と経済的不安定への対応

2025年3月末から4月初旬にかけて、仮想通貨を巡る企業の動きが顕著となっている。日本のメタプラネットは696ビットコインを約6000万ドルで取得したと発表し、企業資産としてのビットコインの保有を強化した。また米国のGameStopも3月25日に企業キャッシュによるビットコイン購入方針を示すなど、企業がデジタル資産を現金と同等のポジションで捉え始めている。

こうした動向は、インフレや地政学的リスクにより法定通貨の信頼性が揺らぐ中、企業がビットコインを資本構造の一部として取り込む意識の高まりを映し出している。特にアメリカン・ビットコイン・コーポレーションのように、採掘という源流から資産形成に携わる姿勢は、単なるヘッジ手段を超えた経済的主権の再構築とも読み取れる。

ただし、ビットコインの価格は依然としてボラティリティが高く、短期的には不確実性を孕む。したがって、資本の一部として取り込む企業が増える一方で、長期視点での分散投資戦略が前提となる。市場の成熟とともに、今後このような仮想通貨ベースの企業活動が広がるかどうかは、各国の規制動向と金融システムの対応次第といえる。

Source:PYMNTS